告白的女優論
吉田喜重監督、『告白的女優論』。
反映画の旗手、吉田監督の作品は粗筋を説明するのがとっても難しいので、
こちらをご覧頂けると……。手抜きですみません💦
主演は岡田茉莉子、浅丘ルリ子、有馬稲子という錚々たる顔ぶれです。
更に脇に三國連太郎、赤座美代子、大地喜和子、月丘夢路、峰岸徹、原田芳雄、細川俊之などなどものすごい面子がそろってます。
とにかく主演のお3方がものすごく綺麗!女優オーラが出まくってます。
女優が女優を演じているんだから当たり前かもしれませんが、最近の女優さんには出せない風格だと思います。ただ立っているだけで、座っているだけで、「あたくし、女優ですのよ」と主張しているかのような存在感。
個人的には有馬稲子がかっこよくてツボでした。
話としては以前見た『エロス+虐殺』よりわかりやすい感じですね。フロイト的にそれぞれの“性”を語らせて最終的には“女優”というアイデンティティにたどりつく、っといったような…。
彼女達の根底に“女優”というアイデンティティを見出だせるのはやはり彼女達が女優らしい女優だからだと思います。娯楽性に欠けるので、吉田作品がリメイクされることはないでしょうが、これだけ“女優”としての存在感と説得力を持つ面子が今の女優さんを見渡してもなかなかいないので、今作るのは不可能な作品じゃないでしょうか。
特に有馬稲子演じる伊作万紀子の恋人の台詞、「君にとっては死ぬことすら演技なんだ。君が女優である以上、自殺することはできない。」という言葉に説得力を持たせることのできる女優がどれだけいることか、と思わされます。
仕掛け、というか演出的には舞台にしても面白そうな感じですが、テーマとしてはいささか古臭く感じるかもしれません。まだ性と思想を結び付けて語ることのできた70年代らしい作品かなぁ、とも思います。
それでも女優達が個人、私人としての自分をさらけ出し、葛藤する姿はすごく印象的です。そして本来核であるべき個としての自分の向こうに女優である自分を発見する。その時のそれぞれの演技がまた秀逸です。
3人が並んで歩き始めるラストシーンはなかなかに印象的だと思うのですが…。
楽しめる、という映画ではありませんが面白い映画だと思います。