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【本101】『猫のお告げは樹の下で』

著者:青山美智子 出版社:宝島社文庫

導かれるように立ち寄った神社で、自分にだけ見えるお告げを猫のミクジからもらいます。そのお告げは、タラヨウという葉っぱに書かれてて、そこには「〜しなさい」とか「〜でしょう」という指示や暗示ではなく、チケット、スペースといった言葉だけが書かれています。悩みを抱えた主人公たちは、その言葉から生きるヒントをもらいます。

この本は、7つのショートストーリーからなっています。が、どれもこれも深い人生の気づきが詰まった物語です。

「何かの答えを見出すのは素晴らしいことです。でも、そこにたどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそを人生と呼ぶんじゃないかと、わたしは思うんですけどね」

幸せとは与えられるものではなく、迷いながら、気づくこと、気づいて感謝することから、広がっていくものだと思いました。

私は7つの物語のなかでも「チケット」に思わず涙しました。父と娘の物語だけど、いつまでも一緒だと思っていた娘が成長し、やがて一人で歩いていく...そんな父親の気持ちが心にぐっときました。

主人公はどれも特別な人ではなくごくごく日常にいる人たちです。そのため、ミクジからのお告げが、自分に届いていたようなそんな気持ちになりました。

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