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【再読感想文】日本人のための議論と対話の教科書 - 「ベタ正義感」より「メタ正義感」で立ち向かえ
日本人のための議論と対話の教科書 - 「ベタ正義感」より「メタ正義感」で立ち向かえ(倉本 圭造 著)
はじめに
今回はタイトルを【再読感想文】としてみました。
本書を購入・初読したのは2022年です。
たまたま旧ツイッターで著者の倉本氏の投稿がリツイートで流れてきて、面白そうだと購入したのが今回紹介する本の前書である「「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか?」だったのですが、これが私にとってあまりにも感動的で、その高揚感のまま本書に手を出したのを今でもよく覚えています。
なおその後、本noteアカウントの設立目的となる神の下に仕えることになり、すでに神には本書をご紹介しております。
なんなら、仕事中にカッカしている私に、神からこの本を思い出せと声をかけてくださった(特大ブーメランが返ってきて心臓にぶっ刺さったようなもの)なんて思い出も・・・
「神に捧げる読書感想文」アカウントが、なぜすでに神に紹介済みの本を敢えて今取り上げるのか。
それは、そういえば当時はただ神に本を紹介するのみで私自身の感想文は書いたことがなかったということ、そして、現在は組織上は神の下から離れてしまい、私がピュアに「一現場人」に戻ってしまった今だからこそ、改めて向き合うべき・向き合いたいトピックだと思ったこと、さらになにより、私が倉本氏の文章のファンで、近日同著者様の新刊が発売されることをぜひお知らせする機会としたかったこと。
そんなわけで今回は【再読感想文】として、改めて神に捧げる文章を書き上げたいと思います!!
本の概要
新書サイズに濃い中身が詰まりに詰まりまくっている本(と私は思っている)なので、もはやどう要約していいかわからない…
ということで、私にとって大事だと思えるポイントをいくつかご紹介します。
最重要ポイント:メタ正義感
あなたが考える「正義」と、あなたとは社会の逆側に生きる人たちが持つ「正義」、それは対立することが多いでしょう。しかし、どちらの正義も絶対化せず、「メタな視点(一段高い所から見つめる視点)」で、それぞれの正義を〝対等に〟扱った上で、具体的なレベルで解決していくことができれば、延々と「正義」同士をぶつけ合って何もできないよりもよほど素晴らしい世界が開けるでしょう。
「論破」よりも大事なのは、抵抗勢力を「理解する」こと
誤解のないように言えば、私が「抵抗勢力へも一定の敬意が必要」と言うのは、お互いの意見を足して2で割ったナアナアな案でがまんしろということではありません。 むしろ、最終的には「あなたの理想」をちゃんと押し切って本当に実現するためにこそ、むしろ初期段階でちゃんと「相手側への敬意」を払っておくことが大事なのだ、ということなのです。
本書では「インテリ vs 現場」的な構図を示したり、インテリが存在するのを「水の世界」、現場を「油の世界」と形容したり、そこに「油の世界への敬意があれば・・・」という文言もあることなどから、本書は主に「インテリ」向けに書かれた本と認識しています。
現実ではインテリと現場、に関わらず多様な場面における「対立構図」に応用できることだと思いますが、要は「自らの正義を押し付け合い、互いを罵り合うだけでは現実は動かない」「互いにリスペクトを持ち、相手の本質(存在意義や、言葉には表れない願望)を理解し、現実を動かそう」というスタンスの本だと私は理解しました。
感想文
そもそも私自身、昨今のSNSでの罵り合いに結構飽き飽きして、とはいえどちらかに偏るのも個人的にはあまり好まないので、SNSで他人をフォローする時は極力「両勢力」のアカウントをフォローし情報を得るだけ得て、私自身はなにも発信しない(笑)、というスタンスを貫いてきました。いや、今もそうです。
とはいえ現実世界、リアルな世界になるとそれがなかなか難しいもので、前述のようにカッカしてついケンカをふっかけてしまったり、ということがそれなりにあるわけです。特に仕事。
人間だもの、そんな完璧には一貫性を保てるものではないのですね。ペルソナ、という言葉の通り、きっといろいろな「私」が顔を出す結果なのでしょう。
そんな私にとっては、本書は「希望」であり、かつ「私を戒めるもの」でもあります。
(この辺りは、リアルで私をご存知の神であればすぐにご理解いただけるところでしょう)
あとは、これをどう実行していくか。
本書に文字通りに素直に沿えば、「インテリが油の世界を理解する」アプローチになりそうですが、一方で逆もまた然り、と感じます。(それが現実的かどうかは一旦さておき)
というか、私自身がそれこそ「インテリ」ではないのです。
むしろ真逆の人生を過ごしてきて、今もまさに「一現場人」でもあります。
だからこそ私は反対に「インテリの世界を理解する必要があるのでは?」と思ってきたのです。
そのチャンスがまさに「神に仕えた期間」であったと言えるでしょう。会社においては。
現場からは離れた目線で、会社が何を考え、何を望んでいるのか、を学ぶ貴重な機会でした。
もちろん神は大変に厳しゅうございましたので、早々にズバリの答えは教えてくださらず、禅問答だの壁打ちだのと言い、相当に鍛え上げて頂きました。
このおかげで私は新たな視野を得ることができました。さらに付け加えるなら、私が生きてきたたくさんの「点」に「線」を引く方法まで教えてくださった。ひたすら感謝でございます。
・・・とこの話を深めてしまうと、今回の読書感想文の筋から逸れてしまいそうなので、こちらの詳細はまた別途の機会に。
なお本書の冒頭でも引き合いに出されている、ノーベル賞作家 カズオ・イシグロ氏の言葉、「インテリには"縦の旅行"が必要だ」について。
これに言及した記事を別で読んだことがございましたのでここで紹介します。
本記事の著者 熊代亨氏は、主張は間違っていないが、実際 縦の旅行は難しい、というまとめをされておられます。
(ちなみに熊代氏の書籍も実はちょうど現在読んでいる途中だったりします。読み終わったら感想文上げます)
となると、今回紹介している本にも記載があるのですが、著者の倉本氏は、
いわゆる「ブラック企業」や肉体労働現場、カルト宗教団体やホストクラブにまで潜入して働くという「社会の上から下まで全部見るフィールドワーク」を実行
をされたわけで、これはなかなかすごいことで(語彙力・・・)、そうそう誰もが実行できることではないと思います。だからこそ、本書にもものすごいリアリティを感じるのですね。
一方で、私は冒頭にも書いたように、インテリではありません。
特に私の出身は、極端な言葉を使えば地方都市の「スラム」であり、私自身はたまたま「スラムのやや上の方」に存在できていた、といったところしょうか。
※「スラムのやや上の方」だから快適かというとそんなことはありません。特に幼少期はむしろ逆で、むしろ該当する集団はいわゆるカーストの下層に追いやられがちです(とはいえ、スラム中のスラムがトップと最下層の極端に2極化してもいましたし、辛さの比較など簡単にできるものではないですが)。
ただ、周囲のスラムの様子をある程度見て育ってきているので、体感として理解しやすいのはどちらかというと「社会の下の方」でもあったりします。
そうして大人になり、ブラックに限りなく近いグレー企業を経て、いつの間にか今の会社に入社し、そこでも最初は「現場」に入りました。
ただある時から、幸運にも神に仕える機会を頂いたおかげで、「インテリの水の世界」を少し見ることができた、と言えるのかもしれません。
つまり、本書とは逆方向で、多少は「縦の旅行」ができたかも?しれません。
もちろん私自身まだまだ勉強不足と思っていますので、自信を持って言えるほどではないのですが・・・
(「上」の仕事をした、というわけでもないしね・・・見方に触れることができた、というだけで)
そうだったらいいな、という希望もだいぶ込みで、、、
だとしたらやはり、この経験を活かしたい、と思うのです。
もちろん私は自己紹介にも書きました通り、精神疾患(=うつ病)を煩っており、おそらくそのきっかけは「会社を良くしよう」の流れで発生した対立をうまく処理できなかったことにあるのは自覚しています。
しかし、治療は進んでいますし、本書を読み返せば読み返すほど、ここで折れてはいけないと思うのです。
うまくバランスをとりながら(自分自身のバランスも含めて)、この会社に適したスピード感を見極め、もう一度チャレンジできないものか、、、
今度こそ、現実を少しでも動かせるような動きを作れないものか、、、
「マヨネーズの乳化」作業に、何かしら貢献できないものか、、、
気合い入りすぎですか?ちょっと早いですか?前のめりし過ぎですか?
さて、書きたいことは正直まだまだたくさんあるのですが、エンドレスになりそうなのでこのあたりで切り上げます。
最後に倉本氏のnoteの最新の投稿と、新著をご紹介して締めたいと思います。
トップ画像はAI生成だそうです(笑)
新著は予約しました。楽しみ!
長文になってしまいましたが、ここまでお読みくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。
@神様
私が「純粋に現場オンリー」の立場になった今だからこそできる戦略を練りたいのです。どうにかなりませんかね。と言ったらまた壁打ちが始まりますかね。笑
そんな話も、どこかでまたさせていただきたいものでございます。