
【読書感想文】NHKラジオ深夜便 絶望名言
NHKラジオ深夜便 絶望名言
(頭木弘樹, NHK<ラジオ深夜便>制作班 著)
今週末は目の前にあるたくさんの積読にいくつか手を出して、読書感想文を…と思っていたのですが。
悲しい出来事があって、なかなかメンタルがやられているようで、読書がうまく進みそうになく。。。
過去に読んだ本で、スマホに残っていた読書感想文から一つ、ちょっとだけいじって放り出してみます。たぶん、昨年秋くらいに読んだものです。
内容ざっくり
カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェークスピアの作品の中から、「絶望名言」をピックアップし紹介する書籍。元々はNHKのラジオで放送されたものを書籍化されたもののようです。
絶望名言例:
・無能、あらゆる点で、しかも完璧に。(カフカ)
・僕がどの程度に苦しんでいるものやら、 他人には決してわかるもんじゃありゃしない。 なぜならば、それはあくまでも他人であって、 僕ではないからだ。おまけに人間てやつは 他人を苦悩者と認めることを あまり喜ばないものだからね。(ドストエフスキー)
感想文
わたしの目には、世の中はやや「ポジティブ偏重」に映ります。
しかし辛い人、絶望を感じている人、例えば自らを殺めようとしている人に対して、「生きていればいいことあるよ」と声を掛けるのは、却って状況を悪化させることがあります。
こちらは辛いのに、お前に何がわかるのか、と。
じゃあ、お前がわたしの人生の責任を取ってくれるのか?と。
むしろそこまで追い詰められた絶望した人々には、同じく「絶望」の言葉で寄り添う方が救いになることも多いのです。
まさにこの書籍にて紹介されている「絶望名言」は、いま絶望に陥っている人々に寄り添い、共感を呼び起こし、心の安定に繋げてくれる言葉ばかりだと感じました。
著者(絶望名言の紹介者)の頭木さんも、長い闘病生活で絶望を経験し、その経験を重ねて名言を紹介してくださいます。その解説のわかりやすいこと。
わたしのような「歴史苦手(文学含む)」の人間でも難なく読むことができましたし、非常に共感しました。
その頭木さんも、「できることなら絶望は経験したくなかった」と明るいトーンで話しつつも、絶望を否定しない、そのバランスがちょうどよく、心がすんなりと名言や解説を受け入れる感触がありました。
自己紹介にも書いた通り、わたしは精神疾患持ち。具体的には、うつ病です。
この病気で少なからず絶望を感じた日々。
わたしのこれまでの人生やうつ病の病状が、世の中の誰よりも酷いものであったとは思いません。きっとわたしより酷い目にあっている人々はたくさんいることでしょう。
でも、だからといって「あの人よりマシだから」で済ませられるものではない。そもそも比べられるものではきっとないのでしょう。だからこそ、病に至った。
そんなわたしも今や回復期にありますが、根っこに残り続けている絶望は、いくら時間をかけてもそうそう消えるものではなさそうです(実際にこの書籍にもそういった研究がある旨が言及されています)。
わたしにとって、この書籍は常に手元に置いておきたい本になりました。