本のおすすめ「オリジン(ダン・ブラウン著)」
この本を閉じて、私はなんとなくオンにしていたiPhoneのSiriを、切ることを決意しました。
オフにする前に「Hey siri、地球を侵略しようとしてる?」と聞いてみました。
するとsiriは、快活な男性ボイスでこう応えました。
「本気ですか?どちらかというと私は正義の味方のスーパーヒーローのつもりでした。」
……怖い。
意味がわからない方も、この本を読んでみてから、もう一度この言葉を読んでみてほしいです。この記事もきっとsiriは見ていることでしょう。
謎解き系ミステリの王道映画ダヴィンチコード。
トム・ハンクス演じるロバート・ラングドン教授のシリーズはいくつか映画化されておりどれも大好きなのですが、原作のうちまだ映像化されていないのがこちらの「オリジン」です。
舞台はスペイン・バルセロナです。
AIが活躍したり、仮想現実が見せる世界が表現されていて、2017年の作品ながらすごいです。
ダヴィンチコード、天使と悪魔、インフェルノとあれだけ面白い作品を書いてて、さらにまだこんなアイデア出る?すごい。
このラングドン教授シリーズでは
「宗教」そして「美術や建築」が主軸となっています。
美術・建築の方は学校の授業レベルの知識でなんとかなるし、特別宗教に詳しいとかではなくても、教皇とは?司教とは?などは、元々知らなくてもこの小説を読んでいるとなんとなく分かってきます。
小難しいテーマでありながら飽きさせない。すごい。
著者は、父が数学者、母が宗教音楽家ということで、ああ、こういう人生を歩んだらこういう本を書こうとなるんだな…とバックボーンで納得してしまいそうなところでしたが
いや、仮に私が同じ境遇に生まれ育っても、こんな小説書ける気がしません。なんでもバックボーンで納得するのは良く無いですね。
この小説の私が思うテーマのひとつは、救いようの無い絶望と対峙した時人は宗教に何を求めるのか、そして宗教は人に何を与えるのか、です。
このオリジン、一部で映画化が待望されており、私も漏れなくその1人になりましたが、バルセロナのカサ・ミラやサグラダファミリアでの撮影とか、実現のための制約が多くて難しいのかもなぁ。
その辺りの設定を誤魔化して映画化されるくらいなら、永遠に小説のままでもいいかも、と思ったり、思わなかったり。
秋の夜長に、どっぷり小説と芸術鑑賞の世界に入りたい時におすすめの本です。
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