晴れた日は図書館へいこう/本でつながる少女が出会った人々の物語
こんばんは。Book Conseillerの都築です。
今回ご紹介するのは児童文学作品。
小学校高学年くらいを対象とした作品ですが、年齢を問わずにおすすめできる作品です。
この作品では本と図書館が好きな女の子が、図書館で出会う様々な『出来事』を描いています。
ジャンル: 児童文学
著者 : 緑川 聖司
出版社: ポプラ社
文庫 : 256ページ
『「天気がいいんだから、子どもは外で遊びなさい」
晴れた日になると、大人は決まってそういうよね?
だけど、そういわれるたびに、わたしは首をかしげていた。
大人はどうして、子どもというだけでひとくくりにしてしまうのだろう。』
”晴れた日は図書館へいこう”より一部抜粋
小学五年生のしおりは、本を読むのが大好きな少女。
憧れのいとこのお姉さんが司書をしている図書館へ足繫く通っています。
そこで出会う人たちにまつわる様々な小さな出来事が描かれます。
軽いミステリー仕立てになっていますが、複雑ではなくシンプルで読み進めやすい物語となっています。
本にまつわる作品として、以前こちらの本を紹介しました。
●ビブリア古書堂の事件手帖●
こちらの本では実在の書籍を謎解きのキーワードとして、物語が展開していくのですが、今回の作品はツルゲーネフの「初恋」という書籍以外は恐らく架空の作品です。
「ビブリア古書堂の事件手帖」は、実在の本を知っている人がより楽しめるように作られている作品で、ある程度読書をしている方向けと言えるかもしれません。
「晴れた日は図書館へいこう」は書籍そのものは出来事のきっかけで、謎解きのカギになるのは登場する人との会話から展開されます。あまり読書をしない方でも入りやすい物語になっているように思います。
主人公のしおりは素直な性格のしっかり者の女の子です。
年齢に比べてずいぶんしっかりしているなと思うのですが、読み進めて彼女の環境がわかってくると納得できるような気がします。
また彼女を通して子供のころ自分から見た、大人の人の見え方はこんな感じだったと懐かしく思い起こす部分もありました。
児童書というジャンルにはなりますが、主人公の性格や心情、また物語もわかりやすく表現されていて、読みやすい作品でした。
ドラマティックな展開はないですが、平穏な日常の小さな出来事を陽だまりのように楽しむ作品です。
印象に残ったのは第五話と番外編。
第五話は主人公を取り巻くこれからの物語の展開が気になります。
番外編は過去から現在へ続く、ちょっと驚きのある素敵な物語です。
全体のボリュームは中くらいで番外編を含めた6つの物語が収載されています。
小説を読み慣れていない方、日常を描いたほんのり温かい気持ちになる物語がお好きな方におすすめの作品です。
☆5点満点中
読みやすさ ☆☆☆☆
ストーリーの重厚度 ☆☆☆
謎解き ☆☆☆
日常 ☆☆☆☆
懐かしさ ☆☆☆☆
◇この作品が好きな方はこちらもおすすめ◇
深夜0時の司書見習い (メディアワークス文庫)
不思議な図書館に迷い込んでしまった少女の物語で、「不思議の国のアリス」を思い起こさせる世界観のファンタジーとなっています。
皆様と本との素敵な出会いがありますように。
都築都でした。