もう一度、本に告白した。
気づいたら12時。
昨日から行こうと思っていたお気に入りの古本屋さんがOPENする時間。
昼食として焼いたチーズトーストをさっと食べて、
歯磨きして、愛車のジムニーに乗り込む。
車で5分もかからない場所にお気に入りの場所があるのは、
なんともありがたいことだ。
昔は栄えていたであろう、
昭和の雰囲気漂う商店街の末端に目的地がある。
なんとなく嫌な予感はしていた。
この辺りは寒さが厳しいので、冬になると閉まる店があったり、
営業時間が短くなったりする。
インスタで営業時間確認すればいいのに、めんどくさがってしなかった。
案の定、扉にはすだれがかかっていた。
扉に貼っている営業曜日を見ると、
いつもはオープンしているはずの「木曜日」の上に、
楽しそうにキャンプしている家族のステッカーが貼られていた。
インスタを確認すると、
「寒さ厳しい日が続きますね。
しばらくは金土の営業とさせていただきます。」と、
ちゃんと書かれていた。
本屋さんは何も悪くない。
完全に自分が悪い。
気を取り直して、車で20分のチェーンの書店へ。
久しぶりに来ると見慣れない本がたくさん。
でも、新しく出た書籍以外はあまり商品の入れ替えはなさそう。
チェーン店あるあるだと思っている。
店内全体を見回ってみる。
実は本屋に来たのは半年ぶりくらい。
それまで毎週当たり前のように毎週本屋に行っていたのに。
ある時、自分は本当に本が好きなんだろうか?と、
疑念を持ったときがあった。
本を読んで自分は変わったのか?
本屋を1時間も2時間をぐるぐるぐるぐる回るは時間の無駄じゃないか?
人生に役立ってるのか?
自分の成長に寄与してるのか?
純粋に読書というものを楽しんでないんじゃないか?
いろんな疑念が自分の頭の中に渦巻いた。
時間が経てば、昔付き合っていた彼女との思い出みたいに、
こんな悩みも気にならなくなるかと思ったが、
ずーーーーーーーーーと頭の中に留まり続けるので、
一回本屋に行くのも、本を読むのも我慢してみた。
結果、
別に大きな問題なく生活できてしまった。
イライラすることもなく、蕁麻疹が出ることもなく、
いつも通りの生活をすることができた。
ついに、証明されてしまったのだ。
本は、本屋は、自分にとって特別のものではないと。
琵琶湖の水は京都や大阪に流しているが、
実はその川を堰き止めてしまうと滋賀県が水没してしまうことが
わかった時のような「マジかよ!」って感覚になるかと思いきや、
意外とすんなり受け止めることができた。
今日は、ほんまになんとなくだった。
半年ぶりに本屋に行くと、自分は何を思うのか。
それが知りたくて本屋に来てみた。
結論、
やっぱり本っていい。
本屋っていい。
大好きだ。
でも、同時に、
「別に本がなくても、本屋がなくれも生きていけるなー。」
素直にそう思った。
1年前に転職し、それに伴い引っ越しもした。
壮大な山々に囲まれた自然溢れる地域で、生活にも満足しているし、
仕事では、人にも恵まれ、本当に良い人たちと働けることになった。
仕事にも生活にもすごい満足している。
それまでの自分は、本に、本屋に、すがってたんやと思う。
多分、依存してた。
仕事も生活も悶々とする日々で、
唯一の逃げ先が本とか本屋やったんやなーと、
今になって思う。
そう考えると、今は本と良い距離感で接することができてるのかも。
なんか恋愛みたいやな。
もう一回、
「付き合ってください!」って告白してみよ。
ありがたいことに、相手は全てを受け入れてくれるから、緊張はせん。
全部の恋愛がこんなんやったらええのに。
君と、良い関係が築けるかどうかはおれ次第。
ちゃんと、学んだよ。
改めて、これからもよろしく。
そんなクサいことを考えながら、
新刊コーナーで足を止める。
めちゃくちゃ綺麗なジャケットで思わず手に取ってしまった、
『老人と海』
また新訳が出たらしい。
偶然にも、僕が初めて読んだ小説は『老人と海』。
小学2年生の時に、おじに無理矢理読まされた本。
「これが縁ってやつか。」
つい口に出してしまった。
僕は足取り軽く、レジへと向かった。