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ポール・オースター「リヴァイアサン」柴田元幸訳を読んで
リヴァイアサンといえば、ファミコン世代の私にとってはFF(ファイナル・ファンタジー)に出てくる召喚獣で、バハムートの次に強いヤツで、大海嘯という技を使う竜というか、巨大なウミヘビなのですが、訳者あとがきによると、リヴァイアサンは旧約聖書に出てくる幻獣であり、トマス・ホッブズが書いた書物のタイトルでもあるようです。
私のイメージである前者はレヴィアサンであり、確かにドラゴンのようなイメージもあるようですが、他には鯨や魚等にイメージされることもあるようです。語源はヘブライ語で「結合させる」などとのこと。
詳しくは↑のWikipediaで。
後者ホッブズの著書は読んだことないですが、そのタイトルは前者の旧約聖書のレヴィアサンから取られたそうで、正式なタイトルは「Leviathan or The Matter, Forme and Power of a Commonwealth Ecclesiasticall and Civil」とのこと。教会や政治的コミュニティー(国家)について、それらが持つ権力について書かれた書物のようです。
↑のWikipediaで出てくる表紙はどこかで見たことあるのですが、とても印象的で、頭に王冠を載せ、右手に剣、左手に杖を持った王のような格好をしている巨人が山の向こうにおり、その巨人の体は小さな人々で形成されています。
このトマス・ホッブズ。何度か記事に挙げさせていただいている、ポッドキャストの番組、コテンラジオの「民主主義の歴史」の時に出てきてました。
「社会契約説」というものを唱えた人で、生まれた時点から宗教(キリスト教)や王権が当たり前にあり、それらが決めた決まりの中で生きるのが当たり前だった世の中において、宗教の腐敗に端を発した宗教戦争や国王と議会の主権争いが起こり、それらの絶対権力が揺らぎ、混沌とした時代、「そもそも人間とは?」を哲学したパンクな(コテンラジオ内の表現)人です。
1651年のイギリスにおいて「リヴァイアサン」は発表されています。63歳の時のことだそうです。
"欲望で動く人間個々人の命を保つためには社会がどう在るべきか?"
ということがこの著書には思想されているそうです。コテンラジオの「民主主義の歴史」はそれらのことをわかりやすく語られているのでとてもオススメです。
民主主義国家に住みながら、民主主義とは何かが何かをよく分かっていませんでしたが、これを聴いたことで幾分わかるようになりました。
で、ポール・オースターの「リヴァイアサン」ですが、自作の爆弾で爆死した男はだれか?というミステリアスなところから、始まります。
1992年のアメリカが舞台。ストーリーはとても面白く、柴田元幸さんの翻訳は読み易いのでスラスラと読めます。先入観なしに頭を空にしてもらって楽しんでもらいたいです。
民主主義のリーダー国家であるアメリカ。
もうすぐ大統領選挙がありますが、その国の現状は民主主義の原点から見るとどんな状態か?
本著を今読むと過去と現在の間の一地点、32年前のアメリカの空気はどのようなものだったのか?ということをしみじみと感じることができます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。