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カレンの歌は美しく、そしてどこか仄暗く

何週間か前、NHKラジオの聞き逃しサービス、らじるらじるで、サカナクションの山口一郎さんがMCを務めているNight Fishing Radioを聴いたのですが、そこでカーペンターズのアルバム、「Now and Then」が紹介されていました。

その番組を聴いた後、レコードがたまたま家にあった(妻のお母さんが持ってたのを持ってきていた)ので、改めて聴いてみました。

ラジオを聴いて初めて知ったのですが、このアルバムはA面がNOW(今)、B面がTHEN(その時)という構成で、
A面(当時の)NOW=1973年にカーペンターズが作った曲群
B面THEN=一昔前である1960年代の名曲カバーメドレー
という流れであったみたいです。
(勉強不足です💦)

B面はラジオDJがそれらのカバー曲を回していくような音になっているのですが、上記を知るとなるほどーという感じでした。

A面は有名な曲、SINGで始まるのですが、これ、セサミストリートの曲をカーペンターズがカバーしてたみたいですね。同番組内でキャラクター達と2人が一緒に歌っている映像をどこかで観た記憶があるような気がしますが、youtubeでは出てこなかったです・・・(下の映像はセサミストリートのバージョン)

で、2曲目にマスカレードという妙に大人のムード(昔からそう思ってた。)の曲があり、その次にインストのヘザーという曲を挟み、明るい曲ジャンバラヤから、I can't make musicというバラードの名曲でA面は終わります。

で、個人的に衝撃的だったのはB面です。
一曲目のみがオリジナルの名曲、Yesterday once moreであり、そのあとが前述の1960年カバーメドレーであるというところ。

ラジオでの解説によると、1970年代はベトナム戦争などで世界情勢が目まぐるしく、アメリカ国内の雰囲気もほんの少し前である60年代と相当変わってしまい、それに対する人々の喪失感が、相当なものだったということです。

それを知った後に聴くYesterday Once Moreの最初の歌詞「若かったあの頃、私はお気に入りの歌を聴くためにラジオの前で待っていたの」はその後の世界が変わってしまった事を知っている私にとってはあまりにも残酷に聞こえてしまい、そのラジオの前で無邪気にわくわくしながら待っている少女を想像すると涙腺が緩んでしまいました。

そのあとに続くカバー曲集(ビーチボーイズなど)の明るさやのどかさが輪をかけて、そのどうしようもない時代の変化というものを浮かび上がらせ、トドメのYesterday Once More(リプライズ)で過去への未練が強調されているように思われるのです。つまりこのアルバムは"無常感"を表していると、私個人はとらえました。

レコードB面

番組では、このメドレーとカレンの歌でアメリカの人々は癒されたそうなので、多分私とその時代のアメリカの大多数の方の感じ方は全く違ったのでしょう。

しかし、親のカーステレオから流れていたカレンの歌声を思い返しても、その神がかった(天使がかった)歌声の根底にどこか仄暗い印象を受けていたような記憶はあります。

その後の彼女の人生を知ったからかもしれませんが・・・
でも美しく、どこか仄暗いからこそ、彼女の歌声は人々に響くのだと、私は思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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