結婚式の「誓いの言葉」
教会で結婚式を挙げると、「誓いの言葉」というのがありますね。 新郎新婦が神父か牧師の前に立って、それぞれ、「相手が病めるときも健やかなときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで夫婦とする・・・」と誓うものです。
私なんぞ、えらいロマンチックな言葉だなとずっと思っていましたが、作家の井沢元彦さんによれば、これは決してそうしたものではないというんですね。
どういうことかというと、長い夫婦生活においては、いろんな出来事がある。病気もあれば貧乏もありうることを想定し、そのような場合でも決して相手を見捨ててはいけないということを「契約」として確認しているのだと。
しかも、二人が同時に死ぬことはまずありえない、心中か飛行機事故か、ごくまれなケースしか考えられない。だから、婚姻契約はどちらか片方の死によって終了するということも併せて確認しあっているのだと。裏返せば、その後は再婚してもいいんだよと。
これが日本の結婚式だと、神主さんが読み上げる祝詞(のりと)もそうですが、おめでたいことばかり言って、披露宴で、「病気になったら」とか「貧乏になったら」とか、まして「どっちかが先に死んだら」なんて話は絶対にしませんよね。縁起でもない、と袋叩きにあう。「切れる」「別れる」「離れる」なんて言葉も、禁句。
こういうの、日本に古くからある「言霊(ことだま)信仰」というそうです。よいことを言っていればよいことが起きる、悪いことを言えば悪いことが起きる。今でもいろんなところで見られますね。「平和、平和」と叫んでいれば平和になる、みたいな。