【読書録】夢をかなえるゾウ
水野敬也 著
無意識に、こころの奥のほうにしまい込んでしまった夢を、だれかと話したくなった。
憎めない大阪のおっさんキャラ、神様ガネーシャと、どこにでもいそうな平凡なサラリーマン主人公のほっこりストーリー。
主人公目線の会話調で書かれていてとても読みやすく、とがった内容ではないので読み終わるのに時間はかからなかった。
富や名声を手に入れたい、この話の主人公はそんな動機からガネーシャの課題をこなすことになる。
そうではないわたし。
むしろ平凡な日常に幸せが感じられたら満足、というタイプだけど勉強になったことは多く、3つ、忘れたくない気づきがあった。
人間が変わろう思ても変わられへん最も大きな原因は、このことを理解してないからや。ええか? 『人間は意識を変えることはできない』んやで
これは、主人公がテレビを見ないことに決めたときのガネーシャのひとこと。
今日から変わるんだって思うこと、想像するだけだったらとても“楽”で、それは“逃げ”だと。
そういえばあの時、意識しただけでは変われなかったなぁ。わたしの中の苦い記憶がよみがえる。。
大切なのは“具体的な行動に移す”こと。
続けたいことがあるときも、これが大切なんだ。
先日、毎日体重を測ることを忘れるわたしはアドバイスをもらった。
「目に見えるところにおいて、朝のルーティンと紐付けてみたら?」
5日間、まだ1日たりとも忘れていない。
こういうことですね、ガネーシャさん。
「仕事に費やす膨大な時間、それはつまり『作業に費やす時間』や。だから仕事はブランドで選ぶと不幸になるんや。その『作業に費やす時間』の喜びを犠牲にすることになるからな」
仕事選びにおける考え方もガネーシャは説く。
どんな仕事が自分に向いているか、好きな仕事をしたいけどなにが好きかわからない…
一度は考えたことのあるこんな悩みを一蹴する答えだと思った。
“作業”。
仕事のことをそんなふうに考えたことがなかったので、仕事選びに迷ったときに立ち返るところになるだろう。
「一つだけ、絶対にあきらめたらあかんことがある」 「それは何ですか?」 「『自分』や。自分には何か才能がある、自分にしかできない仕事がある、そのことに関してはあきらめたらあかん。見つかるまでそれを探し続けなあかん。自分自身に対してはあきらめたらあかん」
もちろん、挑戦したら挫折することもある。
そんなとき、この思考をもっている人はつよい。
人生は自由だ。
努力し続けても、平凡に暮らしてもいい。
自分が幸せだと感じられればそれでいい。
そう語るガネーシャが最後の教えとして伝えてくれたことは、ぜひ原文で読んでほしい。
ベストセラーとして紹介されることが多いこの作品。恥ずかしながらはじめて読んだが、なるほど。
成功したい人もそうでない人も、
学生でもサラリーマンでも
主婦でもおばあちゃんでも、
だれにでも共通する
“忘れてしまっていた好きなこと”
ここがくすぐられるからこの作品が好かれたんだ。
いま、ターゲット層をぎゅうぎゅうに絞った本が売れているけど、みんなに好かれるってなかなかいい本だなと思った。
きっとまた読みかえす作品。