山のトムさん
めがね、パンとスープとネコ日和、最近で言えば猫村さん、ペンションメッツァなど…
松本佳奈さんが製作に携わった映画・ドラマが好きだ。いや、大好きだ。
劇中ほとんど何も起こらないが、ストーリーと映像美とが相まってこの上ない安心感に包まれる。物語の抑揚はないけれど、それが見ていてとても心地いいのである。
なかでも山のトムさんは大のお気に入りだ。
画面に映る飯島奈美さんの料理は、もう全部食べたくなってしまうし、猫の気持ちを表しているのか、ピアノが奏でるスキップしたくなるような音楽もいい。古民家と今どきのおしゃれな家具を組み合わせたインテリアもすごく真似したい。
とにかく、どこを切り取っても最高なのだ。
ちなみにこちらはドラマで拝見したのだが、何度見ても新しい発見がある。
例えば、アドリブかな?とも思える小さな声で会話をしている主人公とお友達。「獣医さんにお願いしてくれてありがとう」「いいのいいの」みたいな。
アキラとトシちゃんの買い物帰りのシーンの「トキさんメガネ喜ぶかな」だったり。ぼそぼそっとしたセリフも面白いから聞き逃せない。
暇さえあればつけているほど何回も見ているのに、その都度発見が多いから、
「もしかしたら再生するたびにセリフが変わるカラクリがあるのかも?」と一時期は思ったりもした。(録画なのでそんなはずあるわけないのだが...)
そういった楽しさもあり、繰り返し見ているのだが、何度も見てしまうのは植物たちが織りなす生き生きとした自然の風景に心奪われたり、風も気持ちよく吹いているのが画面越しに伝わってくるから。あたかも自分がその場所にいるかのように錯覚してしまう。
また、私は田舎生まれ田舎育ち、緑の多い季節に生まれたこともあるからか、そういうところに故郷を感じ、このドラマが好きになったのかもしれない。
木っていいなあ。ああ、ふるさとに帰りたい。
いろいろと制約がある毎日を過ごすなかで、外出を制限しなくちゃいけなくなったことが最もストレスになった。旅行もしづらくなった。
ただ、故郷と同じとまではいかないけれど、一歩外へ出てみれば風は吹いていて、日本に住んでいる限り四季は感じられる。
美味しいごはんを家で食べ、家族と会話を楽しむ。自然は近くで味わう。今は春だしちょうどいい。
ないものねだりで、今ある幸せに気づけていなかったけれど、このドラマが改めて教えてくれた。
まだまだこんなご時世だからなかなか帰ることもできないけれど、ちょっと外へ出て子供と一緒にその辺を探検してみたい。
この街にも癒される、素敵な場所がきっとあるはずだから。
おっとそういえば言い忘れていたが、もちろんトムさん(猫)も可愛くて大好きだ。