レナードの朝
この作品を見たのは中学生以来だ。
当時の教員が何を僕たちに伝えたかったのか当時は分からなかったが、今になって思えば少しだけ分かる気がする。映画の解釈への道しるべは人それぞれだが、思春期の僕達に何かきっかけを与えようとしていたのだろうという事が今の僕には分かる。あの教員に感謝を。あなたがあの時に蒔いたタネは今芽吹いています。
大好きな俳優である故人のロビン・ウィリアムズとロバート・デニーロのWキャストが送るドラマ映画だ。
人間は環境に慣れる生き物である。
今の僕にはとても救いのある言葉。
研究医を熱望していたが精神科へ配属されてしまった医者がある偶然で気づきを得て患者へ新薬を投与した結果、数十年、時が止まっていた患者たちが動き出す物語。
思考の次元は肉体と同じ三次元なのだろうかそれとも過去・現在・未来を繋げる四次元なのだろうか。ある一晩がもし数十年と目覚めない入り口なのだとしたら、僕は目覚めたくないし目覚めたとしても気付きたくない。
レナードが眠り、起きて、また戻る物語。
人が生きるのに理屈は必要ない。しかし理由は必要だ。
人生の喜び、人生とはなにか、普通に生き普通に考える事、自由とはなんと尊い事か。とレナードは作中で熱弁する。
それでも彼はまた眠りについてしまう。
目覚めなければ良かったかもしれないし、理由など見つけなければ良かったという後悔すら、忘却の彼方へ。
これは僕じゃない。僕じゃないんだ。
レナードと同じことを僕は思う。