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読む本のジャンルが偏ってしまうあなたに - 料理・酒編

皆さん、こんにちは
takataroです。

本は読むけど、なんだかジャンルが偏りがち
新しいジャンルの本に挑戦してみたいけど、何から読んでいいのかわからない

こんな悩みをお持ちの方はいませんか?

このコラムでは、特定ジャンルの本を一冊ずつ取り上げて紹介していきます。
読書の幅を広げるのに少しでもお役に立てるよう情報を共有していきたいと思います。

今回は料理・酒編です。

個人的にお酒を飲むの好き、食べることが好きということもあり、料理やお酒関連のエッセイをよく読みます。

少し困ることは、そういった本を読むと色々な刺激を受けて、ご飯食べたい、お酒飲みたいと居ても立っても居られなくなることです。

今回ご紹介する本は
西加奈子『ごはんぐるり』文春文庫
です。

西加奈子さんは、テヘラン生まれ。カイロ、大阪育ちという少し変わった出自を持つ方です。
2015年に『サラバ!』で直木賞を受賞。『きいろいゾウ』、『舞台』、『炎上する君』など、有名な作品を数多く世に送っている作家さんです。

『ごはんぐるり』は、そんな西加奈子さんが書かれた食に関するエッセイです。

個人的に好きな章を、少しご紹介。

「活字のごはん」という章。この章では、西さんがこれまで読んできた食べ物が出てくる場面を紹介されている。本の中で本の話。

印象的だったのは、最後の文章。

 文字には、色もにおいも、味もない。でも、それが描き出す食べ物たちは、なんとも言えない滋味と生命力に溢れ、素晴らしいにおいを放って、私たちの胃袋をからかう。現実のものより、ずっと強く。もしかしたら、料理の本を見ながらごはんを食べた、などというギャグも、あながち間違いではないのかもしれない。

西加奈子『ごはんぐるり』,文藝春秋,2016年2月10日第1刷,34-35ページ

実際にその物を食べたり、飲んだりする体験をできるわけではないので、食について書いた文章を読むというのは、ある意味においては、ナンセンスな行為なのかもしれません。
(絵に描いた餅的な、違うか)

それでも我々は、文章を通して食べ物、飲み物の魅力をより感じ、その体験によってお店にくり出したり、料理を作って食べるという行動に向かうのでしょう。

そして、また実体験の後、より魅力的な表現を求めて食べ物の本を開くという無限ループに陥いるのかもしれません。

続いては、「脱ビール、でもビール」という章。
ビール以外飲まなかった西さんが、食事に合わせてお酒を飲むようになった話。

 よく考えると、お料理には、それに合ったお酒が、必ずある。
 ピザや、トマト味のものには、やっぱり、少し苦味のあるワインが断然よい。
 酒盗、なんて酒を盗むほど美味しい、て意味なのに、きりりとした日本酒を飲まなかったのは、もったいなかった。

(中略)

 しかし!こうやって書いた料理すべてに、オールマイティで合うビールって!お前まじですごいな。どんだけポテンシャル高いねん。

同書56ページ

「正解すぎる店」や「オーダーの正解」の章もおすすめです。

日本に留まらず、カイロやセネガル、フィンランドなど、色々な海外の国の食の話も出てきて楽しいです。

改めて読み返しながら、記事を書いていたらお腹が空いてきました。

では、ここら辺で。

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