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別れの朝



”ひどい!私を捨てて行くのね!”



女のけたたましい声で、その朝は明けた・・・



カーテンの隙間から差し込む光が、部屋の一角を照らし出す。


その光は、まるで私の心に差し込む希望の光であり、


同時に、もうすぐ消え去ってしまうはかな い輝きにも思えた。



枕元の時計、刻々と時を刻む針音が、今朝は妙に大きく響く・・・


静寂が、いつもより重く私の胸を圧迫する。


刻々と迫る別れの足音・・・


まだ開けぬカーテンの向こう、


窓の外には、物言わぬ朝が、静かに広がっている。



朝・・・それは、無数のドラマが誕生する瞬間。


目覚めたばかりの私、


そんな私の朝にも、その瞬間が訪れたのであった。



”別れの朝”という名のドラマが・・・





私の名は、坂本猫馬。48歳独身。


何の肩書も無い、しがない中年男だ。



起き上がろうとする私を、


先ほどの、けたたましい女の声が呼び止める。


女が泣きそうな声で、さらに私を問い詰める・・・



女「ねえ。どうしても行っちゃうの・・・
  行かないで!ねえ・・・猫馬さん行かないで!」


猫馬「行かなくちゃならないんだ。
   わかっておくれよ。最愛のキミ。」



女「ねえ、行かないで。
  こんな寒い朝に、行かなくてもいいじゃない。
  私が、猫馬さんの冷たい手足を温めてあげる。
  夕べのように、ずっと温めてあげるから・・・
  だから・・・行かないで・・・猫馬さん!」



猫馬「オレだって、
   ずっとキミといたい!

   ウソじゃないんだぜ。
   出来る事なら、キミのそばで、
   永遠のぬくもりを感じていたい。
   でも・・・行かなくちゃならないんだ。」



出て行こうとする私の腕を、
女の白い手が、ぎゅっと掴む・・・


女「ウソ!ウソよ!
 
  私に飽きたんでしょ!
  もてあそ ぶだけもてあそ んで、
  私の肉体からだ に、飽きたんでしょ!

  猫馬さん・・・ヒドイ!・・・ヒドイわ!」


女は肩を大きく揺らしながら、大声で泣きだした。


猫馬「そんな風に泣かれたら、
   オレ、行けなくなってしまうじゃないか。」


女「行かなくてもいいじゃん・・・
  ずっと私と一緒にいればいいよ。」



少しふてくされた感じで、女はいった・・・


「さよなら」という言葉が、喉元までせり上がってくる。


でも、この言葉を口にする事が、どれだけ辛いことか・・・



別れ際、彼女と言い争いになるのを避けたい私。
少し変化球を投げてみた。



猫馬「・・・・ふてくされたキミも、
   カワイイよ。凄く!」


背を向けたままの女・・・


女「・・・ホントに?」


女の声が、少し明るくなる。
くるりとこっちを向く。


猫馬「ああ!ホントさ!
   ふてくされたって、
   キミは、カワイイんだね。」


女「猫馬さん。それ褒めてるの?クスッ」


女の表情が、柔らかく笑顔になる。
私は、すかさず正面から抱きしめる。
そして、女の耳元でささやく・・・


猫馬「こんなにカワイイんだもの。
   どうして、他の女になんか
   浮気するもんか。キミしかいないよ。」


女「・・・・ホントに?」



猫馬「ああ、ホントにホントさ。
   今夜も絶対に、
   キミのぬくもりに帰って来る。」



女「・・・・ウソじゃない?」



猫馬「ああ、ウソじゃないさ。
   だからさ、必ず帰って来るから、
   行ってもいい?いいだろ?
   頼むよ~。行かせて?ねえ。」



女「本当に、ちゃんと帰ってくるの?
  ・・・猫馬さんの事、信じていいの?
  私の所へ、今夜も帰って来てくれる?」



猫馬「ああ、もちろんさ!
   約束する!
   今夜も絶対、ゼ~~タイッ!
   キミの所へ帰って来る!」



女「約束はいいから、
  証拠を見せて。猫馬さん。」


女が、イタズラっぽい笑みをうかべ、
私を見つめる・・・


猫馬「証拠・・・っていったて・・
   どうすれば・・・」



女「キスして!気持ちのい~っぱいこもった、
  熱い、熱いキスをして!」



・・・どうやら女に従うしかないようである。



猫馬「・・・そうするしか、
   ないようだね。

   ・・・・いくよ。
   最愛のキミ。」



女は、無言でうなずいて目を閉じた・・・
   

   





チュッ!😚




猫馬「じゃあ、行くよ。
   行ってもいいね?最愛のキミ」



女「うん。行ってらっしゃい。
  寒いから気をつけてくださいね。
  
  ・・・・猫馬さん、いってらっしゃい。」



猫馬「うん。行ってきます。
   キミも、寒いから温かくして、
   オレの帰りを待っていてね。



女「は~い。行ってらっしゃい~!」

   



猫馬「行ってきま~す!」



ふ~・・・これでやっと行ける・・・







”ジリジリジリジリ~~~~!”




セットしておいた、目覚まし時計が、けたたましく鳴る。




猫馬「ん?もうこんな時間か!
   起きなくちゃ・・・」







私のベッドと目覚まし時計



   



私の朝は、別れの朝だ。



毎朝、私を引き留める



”ベッドという名の女”と別れ、



そのぬくもりを捨てて、



日常という戦場に舞い降りる!






う~!さぶい、さぶい!


・・・おしっこ・・・おしっこが・・・間に合わない。




ん?何怒ってるの?



怒っちゃイヤーヨ!


怒られないうちに、終わりまーす!



まったねー!


バイバイ!






明日の朝も大変だニャンw  ENDだニャン!





全てのステキな画像   写真AC様(感謝です。)





ねこま通信(2025)  1月12日号



最後までご覧くださり、ありがとうございました。

お楽しみいただけましたら、幸いです。


現在、前回のコメントで書きましたが、
「四月の瞳」<後編>に、取り組んでおります。
公開しても、みなさんが喜ばれるような作品ではないですが、


お待ちになってくださる方も、
ありがたい事におられるので、
書けたらいいなと思っておりますが。


創作が出来ないという事で、
前編同様に苦戦しております。
最初の方で、ああでもない、こうでもないと、
書いては消しで、3日くらい進まずで、


ああ~弱ったなと、ぶつぶついいながら、
あまり何も投稿しないのも、悪いなと思いつつ、
手を動かしていたら、出来上がった作品ですw


もう少し試行錯誤してもダメなら、
未完にして、「オレの相棒」に、
取り掛かりたいと思っています。
創作こそ、わが命なんだなーと思っております。


グンマも空っ風で、寒くて寒くて、
前にどこかで書きましたが、
手足が氷のように冷たくなるほどの冷え性で、
手はあかぎれ、足はしもやけで泣いております。


若い頃は、「ねこまさん、かわいそう!」、
といって、両手で冷たい手を包んでくれる、
そういう優しい女性がおりましたが、
私の氷のようになった、
身も心も、その温かさで溶かしてくれる、
キレイで優しい女性をお待ちしております。🙇


そうすればね、もっと指も動いて、
ねこま先生も、色々と作品を発表出来ますw


寒い時期は、体も痛くて不調な日が多いので、
たまにの投稿になりますが、
よろしかったら、ご覧になってください。


では、インフルエンザが流行してたり、
寒さも厳しくなったりで、
体調を崩しやすい時期ですからね、
読者のみなさま、
どうか、お体ご自愛下さい。





(お詫び)


前回投稿した、

「野生の帝国  第1回 」




おかげさまで、多くの方にご覧いただきまして、
ありがとうございました。


現在は、修正してありますが、
ちょっと誤表記、ミスした所がありまして、
公開日初日から、翌日の午前中くらいかな。
それまでに、ご覧くださった方は、
大変、申し訳ありませんでした。


無いようにして、何度も見直してるんですが、
結構、投稿した後、見つけて慌てて直す事が、
あるんですよねー。無いようにしないとイケナイのですが・・・
ホントにごめんなさい。🙇


間違えてたのは、<チーター編>です。
始まって、すぐの箇所なんですが、
チーターの画像が出て来た後です。


×  一頭のメスヒョウがいる。


〇  一頭のメスチーターがいる。


メスチーターとすべき所を、メスヒョウとなっておりました。
note友のエスせんさんに、教えて頂いて、
間違えに気づく事が出来ました。


エスせんさん、どうもありがとうございました。
あー間違えてる!なんて思いつつ、
みなさんに読まさせてしまって、
本当に申し訳ありませんでした。


チーターの画像があるのに、
メスヒョウだなんて書いてあって、
混乱させてしまったかと思います。


素人が書いてるから、間違えがあってもいいんだと、
私は、読んでくださる方に、
そういうご負担は、おかけしたくないので、
今後とも、充分気をつけて参りますので、お許しください。


おっちょこちょいなんだよな。オレ。
何度も見直してるのに、あんな太字で書いてあったのになあ。
ホント、ごめんなさいね。まだまだ、精進が足りませんな。


ご迷惑をおかけしてしまい、
本当に申し訳ありませんでした。


では、お詫びでお別れしてすみませんが、
また次回作品で、お会いしましょう!


最後までご覧くださりまして、
本当にありがとうございました。



さようなら!お元気で!





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坂本猫馬
懐かしいやら、マニアックな内容やらですが、 もし、よろしければですが、サポートして頂けたら 大変、嬉しく感激です! 頂いたサポートは、あなた様にまた、楽しんで頂ける 記事を書くことで、お礼をしたいと思います。 よろしくお願いします。