教員向け公開授業
‘教えない勇気’
今回(10月22日)の授業(公開授業)は、演劇的手法(獲得型教育)とジグソー法を用いたSTEAM型授業の組み立てでした。ここで、いわゆる「アクティブ・ラーニング型授業」の効用を強く感じます。
授業後の生徒たちの感想をみてみると、その効果は歴然としています。「たのしい」「学びが深まる」「教えあう機会」「自分の意見を言って、相手の意見を聞くことができた」「調べてきたことを共有」「皆がたくさん調べて教えてくれた」「多くの人と意見を共有することでより正確で深い知識を得ることができた」…などなど、生徒が学びへの意欲をもたらしていることを示す言葉が多くみられます。
「公開授業」
この授業は、外部への公開授業であるということもあり、そして実際に多くの参観される先生方がいらっしゃったので、生徒たちの中にはかなり緊張している人もいました。最初は、ホット・シーティングで始まる(いつものはじまり方です)ので、そこでこの日の担当になっていた生徒はかなりプレッシャーを感じていたと思われます。そこをしっかり進められたことは価値ある経験となったことでしょう。
ジグソー法とホット・シーティング(演劇的手法)
本来であれば、「いつもの授業(別に掲載)」を実施するはずだったのですが、たまたま、この公開授業のときに担当となったクラスはちょうど前回の授業で「単元」が終わって、まとめの授業の時間にあたりました。前回(9月のオンライン授業時)のまとめの授業はオンライン(Zoom利用)での「グループによる演劇的手法を用いた発表」でした。そこで、今回は、「ジグソー法を用いて知識を拡げ理解を深める」+「ホット・シーティング(演劇的手法の一つ)の応用による定着」を目指しました。
リフレクションで‘メタ認知力’を…
授業の後には、自分の学びを振り返ること…そして、自己評価を行い、メタ認知の力をつけていくこと…を目指します。この時間では、自分の学ぶ姿勢に対する評価、きょうの学びの内容に対する振り返り、この二つを提出する形で終了です。もともとの予定としては、この提出までを時間内に収めたかったのですが、生徒の皆さんの知識共有に対する意欲の高さによって、ジグソー法を用いた知識共有の時間を長くとったため、その部分は、授業後に(主に家庭で)作成してロイロ・ノートで提出することとしました。
「学びの場を創る」
先生がしっかりと準備をして、先生がしっかりと板書をしてどこがポイントなのかをかっちり教えていく。そして、生徒は先生のお話をきいてきっちりと板書を写していく…この従来型の形で進めているとき、最も学んでいるのは誰なのでしょうか。もっとも、頭をはたらかせているのは誰なのでしょうか。最も成長する可能性が高いのは誰でしょうか。そうです、このときの「学びの主役」は先生になっているのでしょう。
ぼくの授業は、完全に「生徒が主役」を目指しています。そう、ぼくは授業の主役を生徒に譲っていきたいのです。そしてぼく自身は、授業という「学びの場」をデザインし、そこでファシリテートする立場で学びを促していきたいと考えています。そのための授業構成、テスト問題の作成、評価規準つくりを行っています。
ホット・シーティングを用いるのは…
ぼくが演劇的手法を用いる理由は、主に三つ挙げられます。
一つは「言語活動の充実」です。当たり前のことですが、私たち人間は、考えるときに言語を用いています。そして多くの人に自分の考えを理解してもらうために、自ら思考し、論理的に表現することが求められます。そう、他人に伝えるときも言語を用いため、表現力が求められます。
二つ目として、コミュニケーション及び協働のために必要な自己表現する方法を身につける手段としても役に立つものと考えられます。
三つ目として、恥ずかしがり家な(プライドが高い)私たち日本人にとって、演劇的手法を活用することによって、「自分でない何かに成りきって表現する」ことは、自分自身を解き放つことにより、自由に表現する機会を提供する大きな力になると感じています。さらに「自分自身でない何かになって考える」ことは思考において大きな価値があるものとも考えられます。
次へ向けて…
次からの授業、そして近々やってくる定期試験、実力テスト、模擬試験…そこでどのような効果が見られるのか、ちょっとたのしみなところです。