遠巻きに、けれど。
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『遠巻きに、けれど。』
ときどき考える。僕のあらゆる言動は、全部自己満足の傲慢さにすぎないということ。
たくさんのことを諦めて、たくさんのことを蔑ろにして、たくさんのことに優先順位をつけて、たくさんの 誰かのいちばん を否定しうる、私の優しい世界。
矛盾なんて知らない。否定なんて許さない。世の中なんてどうでもいい。誰かのせいで縛られたりなんかしない。
優しい言葉なんか大嫌い。
あなたの大切なものを知っている。あなたの諦められないものを知っている。あなたの好きなものを知っている。
でも、だからといって、
それを全て守るとは言ってない。
あなたの諦められないものをぶち壊して、あなたの未練を引きちぎって、あなたの後悔を否定にして、あなたの優しさを問いただす……かもしれない。そうしてもいい、そうするのが是と思うときはそうする。
だから、
あなたの大切なものを守れるだけ守る。あなたの諦められないものを守れるだけ守る。あなたの未練を守れるだけ守る。あなたの優しさを守れるだけ守る。
あなたが壊れないでほしいと思う。あなたが壊れづらい人であることにどこか安心する。
そんな自分に後ろめたさを覚えて、この安堵は私の身勝手さが許されることへの安堵ではないと言い訳して、それを何度も確認しようとする。
強くて優しい人が好きだ。
優しいだけの人は苦しいし、優しいだけの優しさは嫌い。
身勝手で無関心な、傲慢で優しいあなたに安堵する。
その隣で、もう少しやわい心がそれを見守っている。
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後書き
これは、読書感想文でもあります。
冒頭にそうと書き添えなかったのは、
そう思わずに読んだ方が深読みせず純粋に文章として読んでいただけるのではないかと思ったからです。
ネタバレはありませんし、この散文を読んだからといって何か読解が変わるとは思いません。この散文は、私のただの個人的な連想です。
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今回読んだマンガ作品『煙たい話』は、単行本3巻まで発売されています(し、試し読み程度なら光文社の漫画サイトで無料で読めるかもしれません)。
完結はしていません。
背景の草花など描き込みも細やかで読みやすい作品です。
是非読んでみてください。
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↓光文社のマンガサイト
↓単行本1巻はこちら
(2023/9/21に単行本3巻が発売されています。)
2023/9/28 19:17
改行等の修正
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2023/9/29 22:54加筆
本当はね、本文の最後は別の言葉にしようかと思っていたの。というのを思い出しました。
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強くて優しい人が好きだ。
優しいだけの人は苦しいし、優しいだけの優しさは嫌い。
身勝手で無関心な、傲慢で優しいあなたが好きです。
その隣で、もう少しやわい心がそれを見守っている。
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23:09
(書いてみたけどちょっと恥ずかしい……)