#一服チャレンジお茶碗バトン
STAY HOME期間中、SNSではいろんなハッシュタグがついた「バトン」が回っていました。
私のところにもそのいくつかが回ってきたので、アレコレ考えながら参加させていただき、次の方へと回し、、、としていたのですが、その中のひとつ、「#一服チャレンジお茶碗バトン」をnoteにも残しておきます。
このバトンは、武者小路千家 家元後嗣 千宗屋若宗匠が始められました。
茶会や稽古も中止・見合わせとなり「一期一会」のその場所・時を共有できない状況を、自身を見つめ直すための時間とすること。
自らをもてなすための「独服」の実践の機会とすること。
一服の茶を通して、身近な人・家族との時間を今まで以上に大切に感じられるように。
そんな個々人の活動をつなげていこう。バトンで縁をつないでいこう。
いろいろな思いが込められた若宗匠発信のバトン、流派を問わずということもあり、あっという間に錚錚たる方々のところまで広がり、普段ではそう簡単にお目にかかれないような茶碗がわんさかと登場するなどしました。
Instagramにアップされるたびに、おおーー!とか、うわーーー♪とか、完全に「あっち側とこっち側」くらいの気持ちでいたら、武者小路千家 その同門の末端にくっついているような私のところにも、お稽古仲間のマダムからバトンが回ってきたのです。ああ、びっくり!
や、やるなら、やらねば。と思い、私の一番思い入れのある茶碗で一服。
このお茶碗は、現代美術作家 かのうたかお氏作、清水焼の【紅白水引】の茶碗です。
婚礼の仕事で役に立つことがあるかなぁ…と始めたお茶の稽古だったのですが、ある時、社中の仲間の結婚が決まりまして、「茶婚式を行いたい!」という話になり、「あ!社中に司式の出来る人いるじゃん!」と。
日々の稽古が仕事の役に立つ前に、仕事が仲間の役立つとは。。。
師である傳田先生が茶を点て新郎新婦が一服、そして列席された両家家族親族、皆が一服というかなり贅沢な内容だったのですが、そのお式のためだけに焼かれた全員分のお茶碗を司式者であった私にも授けて下さいました。
こちら、茶婚式当日の水屋の様子。
両家家族親族の皆様のために別点にてお出しするための茶碗がずらり!(写っていないところにもっと並べてあるんですよ)
全部がかのう氏の【紅白水引】茶碗なのですが、それぞれ少しずつ表情があって面白いです。
お茶を通して祝いの席にご一緒させて頂けたこと、それだけでも嬉しいのに、当時(いや今も)お道具らしいお道具を持っていない私に、こんな素敵な祝福と喜びに満ちた茶碗まで下さって。。。
あの茶婚式の列席者だけでなく、進行に関わった皆んなが持っている茶碗。
新郎新婦の幸せを祈り、また分けて頂きながらと、なんとも温かな気持ちに溢れる一服になります。
そんな思い出の茶碗で、一服。独服いたしました。
あんまりかしこまってしまうのも柄ではないので、、、
私らしく、我が家らしく、楽しいものにしたいなぁと考えました。
お菓子は何にしようかしら、、、と前日に焼いた、ふわっと軽いスフレのようなチーズケーキ。
盆に見立てたシェーカーボックスの蓋。
お花もやはりないといけないよね、とちっちゃく飾りました。
茶器を入れる袋は、母の手編み。コットン糸のかぎ針編みで、円柱系の茶器(もともとは台湾茶用の入れ物)にぴったりサイズに仕上がっており、収納すると、茶器の白が黒い網目の間からきれいに透けるようになっています。
チュールリボンで結び、黒蝶貝の飾りボタン付き。
茶碗をいれる袋も、外側の裂は母から譲り受けた着物を仕立て直した際に出た余りで、内側の布は昨年友人と訪れた鎌倉で買い求めたもの。某婦人服ブランドのパタンナーを務めていた経歴を持つ、縫製のプロの友人がこちらもぴったりサイズで縫ってくれました。
思い入れのある茶碗に、道具たち。。。
先日、3ヶ月ぶりの稽古に参加したのですが、あれこれ工夫がされていて、これまでの手順とは全く違った稽古となりました。
一座に会し一腕を回し飲むからこそ、というお濃茶も、我が社中では小服茶碗へと片口から分けて半東が出しています。茶巾は各人専用。茶碗の熱湯消毒。などなど。
以前のような「茶の湯」を楽しむことが出来る日は、いつ来るのだろうか。
いや、果たして来るのだろうか?とさえ思えてきますが、稽古に参加したことで、変化しながらも、その中で自分らしく楽しんでいけたらいいな、という思いがより強くなりました。
自分で言うのもなんですが、あんまり真面目な弟子ではない私ではあるのですが、お茶の稽古を始めたことで、それまでとは全く別の世界の扉が開かれたのは事実。
学生時代、社会人時代、フリーランスで仕事をしているときにも出会えなかった仲間に出会い、面白くつながり、いろんな刺激をもらっています。
この歳になって、そんな新鮮なご縁をいただけるのも有難いこと。
とりあえず、久しぶりの6月の稽古で、内腿が大変な筋肉痛になったので、7月の稽古までにはもうちょっと整えておこう。
迷いながらも、やっぱり楽しみながら頑張ってみたいなーと思ったので、このバトンの思い出と一緒に、記しておきます。