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ボードゲーム的棋譜並べ 【ボードゲームを分析するには?】

こんにちは、ボードゲームデザイナーの山田空太(やまだくうた)です。

noteでは主にボードゲームの作り方について書いています。

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さて、今回のタイトルはボードゲーム的棋譜並べ

将棋の棋譜並べという学習法に引っ掛けて、「ボードゲームを一人で回すこと」がゲームデザインの勉強法としてかなり有用じゃないかなという提案です。

以前、こんなツイートをしました。


「棋譜並べ」とは、棋譜を見ながら、その棋譜通りに実際に自分で将棋盤の上で再現することです。プロ棋士のような、強い人の指し手を並べていくことで、自分では思いつかなかった手に気づいたり、手筋の実戦での活用の方法が分かったりと、将棋学習法として有効です。

引用:将棋連盟連盟 https://www.shogi.or.jp/column/2017/04/5_3.html

残念ながら、ボードゲームの作り方というものは、誰も教えてくれません。

この1冊を読んでおけば間違いない、という本もパッとは思い浮かびません。『ホモ・ルーデンス』『遊びと人間』『ルールズ・オブ・プレイ』などは必読だとは思いますが、ボードゲームの作り方に特化しているわけではありません。

ゲームデザインって、アートの要素もあると考えています。人それぞれアプローチが異なってい流のが普通。ボードゲームの作り方に関する教科書というのは、なかなか難しくて、どうしても限界はあるかなとも思いますが。

ということは、やはり自分なりに模索するしかない。ぼくも最初にボードゲームを作ったときは(『枯山水』というゲームを作りました)、色々と本を読んだりネットで調べたりしました。

その当時といっても7,8年前なのですが、今みたいに日本でボードゲームを作っている人は多くなくて、圧倒的に情報がなかったんですよね。今は、デザイナーズノートとか、インタビュー集とか、手がかりはたくさんあるんじゃないかなと思います。

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さて、どうするか?

既存のゲームを叡智の結集と捉えて、分析するしかない。しかし、普通にゲームを遊んでも、ゲームのここが優れている、ここを変えたほうがいいんじゃないか、くらいは思いついたとしても、「そのゲームがどのようにして作られたのか」についての考察にはなかなか至りません。

そこで、分析の手法として、冒頭で述べたボードゲーム的棋譜並べ。棋譜並べという言葉から、ボードゲームの遊んだ記録を取ってそれを再体験するのかのように連想されるかもしれませんが、そうではありません。

ボードゲーム的棋譜並べとは、ボードゲームを1人で数役を担当しつつ、実際に手を動かしてプレイしてみるということ。ボードゲーム・カードゲームというものは、2人から5人くらまでのプレイが基本。それを、すべて1人で回すのです。

どうして、実際に手を動かす必要があるのか。ルールを読めば十分ではないか。ぼくもそう考えていた時期もありました。しかし、ボードゲームのルールブックをいくら読み込んでも、作り方を想像するのは難しいです。ルールブックというのは最終アウトプットの産物なので、そこには手掛かりはありません。ゲームが作られた過程を感じとるには、実際に手を動かして遊んでみるのが一番だと思います。

一人で回していると、何となく毛糸のほつれのようなものが見えてくるものです。それは、メカニクス同士の繋ぎ目であったり。もしかしたら、ここから作り始めたんじゃないかなという切れ端のようなものも見つかったりします。つまり、ゲームがこのようにして作られたんじゃないかなということですね。ここでは、棋譜並べに例えましたが、文章力の向上のために、優れた文章を書き写すということにも似ているかもしれません。

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ぼくは、このボードゲーム的棋譜並べ、結構やりました。分析の対象のオススメは、90年代から00年代前半までのゲーム。このあたりに作られたゲームは、メカニクスが剥き出しなんですよね。1手1手の意味や、一つ一つのルールの意味を考えてみると良いのかなと思います。

今日の記事は以上です。

ということで、今日もこつこつ、『ウイングスパン』を一人で回しています

この記事が、少しでも創作のヒントになればいいなと思います。

今日大変な日々が続きますが、お互いコツコツと頑張りましょう!


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