オッさんのパラダイス【船橋グランドサウナ&カプセルホテル】(1/2)
最近、歳をとったと思うようなことが増えてきた。昔はスポーツが得意で、運動会のリレーでは毎回アンカーを任されるほど足が速かったのだが、今ではその面影がほとんど無い。そのような過去の話をすると、大人になってからできた友人からは基本的に疑われる。
だが、これは身体的な問題だけではなく、精神的にも感じることがある。なにをするにも守りに入ってしまうのだ。若いころに比べると保守的になってしまい、なかなかリスクを取りにいけない。新しいことに自らの意思でチャレンジができなくなってきているのである。さらには、明らかに記憶力の低下も感じるようになった。ちょっとした出来事や単語を思い出しにくくなってきているのだ。
すなわち、脳が老化してきているのである。
実は、記憶障害の仕組みは徐々に解明されてきていて、脳にタンパク質の一種である「タウ」が蓄積されることで引き起こされるそうだ。そして、理化学研究所が行ったマウスを使った実験によると、このタウタンパク質は過去の記憶を長時間思い出そうとする時に、より蓄積されやすいことがわかったらしい。要するに、昔の思い出に浸れば浸るほど、脳の老化が進行する可能性が高まるようだ。
考えてみれば、長く生きれば生きるほど多くの経験をするわけだから、それだけ思い出も増えることになる。すると、理論的に考えれば ”過去の思い出に浸り放題” の状態になるため、脳の老化が進むのは当たり前ということだ。
しかし、この状態こそが、人間の健康を真綿で首を締めるように害する原因のひとつとなっているのだ。とはいえ、生きていれば新しい体験をする機会は訪れるし、その時に人間は過去の成功体験をもとに自信を呼び起こし、モチベーションに繋げる生き物である。つまり、何かのきっかけがある時に、本能的に記憶を思い出そうとするのが人間なのだ。
ただ、過去の出来事を思い出す行為が必ずしも悪いわけではない。その行為が次の新しい経験に繋がるための手段なのか、もしくはそれ自体が目的になるかで大きく意味が変わってくるのである。前者の場合、新たな経験をすることで脳に刺激が与えられ、若々しさを保つことができる。一方で、後者の場合は前述の通り、老化を進行させる原因になり得るのだ。過去の栄光にすがるだけでは前に進めないし、むしろ刺激への耐性が弱まり、人間として衰退していってしまう。
だからこそ、保守的な僕に新たな経験をさせてくれる存在を、僕はとても大切に思う。振り返ってみれば、イベントにしろ仕事にしろ、自分一人であれば体験することがなかったであろうことを経験させてくれる人とばかり、最近は関係を持っているような気がする。そして僕は、親しい関係の方から新たな誘いを受けて、千葉県へと向かったのだった。
ーー後編に続く
(written by ナオト:@bocci_naoto)