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小さな百歩【観音湯@幡ヶ谷駅】(1/2)

 営業職に就いていたころ、ビジネスの場面でよく「KPI」や「KGI」といった言葉を使うことがあった。KPIとは「Key Performance Indicators」のことで、目標を達成するための実行・行動プロセスの進捗度を把握するための数値であり、KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、最終目標の達成度を定量的に評価する指標のことだ。

 たとえば、僕自身が過去に営業職だった時は1ヶ月あたりの粗利目標が設定されていた。これが僕個人のKGIで、そのためのKPIとして1日あたりの電話件数が行動指標として設けられていたのである。
 具体的には、1ヶ月あたり10件の成約を獲得しなければならない時に、過去の営業データから1件の成約を獲得するために僕に必要な電話件数が200件だとすると、理論上は単純計算で2000件の電話を掛けなければ10件の成約を獲得できないことになるし、逆に1ヶ月に2,000件の電話を掛ければ10件の成約を獲得できることになる。

 繰り返すけれど、これはあくまで理論上の話であって、実際のところは定量面だけではなく定性面も含めてさまざまな変数が複雑に絡み合うことでゴールにたどり着くので、100件だけ電話をかけて10件の成約を獲れてしまうこともあるし、逆に電話を3000件かけても10件の成約を獲れないことだってある。
 ただ、いずれにしろ大きな目標を達成するためには、そこにたどり着くまでの小さなプロセスを積み重ねていくことが、基本的には必要になるのだ。いきなり大きな夢や目標が叶うこともあるかもしれないけれど、それはたまたま運が良かっただけであって、そこに再現性はない。
 もしも成功を手にし続けたいのであれば、大きな目標を描いてがむしゃらに行動するよりも、それを分解していって見えてくるいくつもの小さな目標の達成をコツコツと積み上げていくほうが、モチベーションも続くし軌道修正もしやすくなるだろう。

 僕はその考え方を、営業という仕事を通して学んでいった。基本的に、お客様から成約をいただくためには検討してもらう必要があるし、検討してもらうためにはこちらから提案をする必要があるし、提案をするためには決裁者やキーパーソンとアポイントを取る必要があるし、そのためには電話やメールなどで連絡を試みる必要がある。
 成約というゴールにたどり着くまでには、そういった小さな目標の達成を積み上げていくのが定石なのだ。なにも行動せずに、大きな最終目標を達成することなど不可能に近いのである。

 僕は、幡ヶ谷にある観音湯のボナサウナで黙々と汗をかきながら、過去に経験した仕事のことを思い出していた。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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