自らの心と向き合う【スパ&ホテル舞浜ユーラシア@舞浜駅】(1/2)
ここ2〜3年の間に、HSPの話題を見かける機会が増えてきた。実際に「Googleトレンド」で調べると、2019〜2020年にかけてGoogleでのHSPの検索件数が上昇していることがわかる。
HSPとは「Highly Sensitive Person」のそれぞれの単語の頭文字を取ったもので、要するに「生まれながらにして感受性が非常に強く敏感な気質を持った人」のことを指す。その特徴には、たとえば「何事も深く考えてしまう」「相手の考えていることを想像してしまう/想像できる」「周囲の音に非常に敏感」「集団が苦手で大勢の人の中にいると疲れる」「ストレスが溜まると他人との接触を避けたくなる」などが挙げられる。
さて、おそらく僕のnote「#連続サウナ小説」を以前から読み続けてくださっている方であれば察してしまうかもしれないけれど、僕の性格や思考はHSPの特徴そのものなのだ。
僕はとにかくストレスを感じやすく、単数であっても複数であっても心の距離感を掴めていない相手と同じ空間にいるだけで精神的に疲れてしまう。パーティや飲み会なんてもってのほかで、集団の中にいると周囲の人間たちの心の声が全て聞こえてきてしまい、その情報量に脳の処理が追いつかなくなり、頭の中がパンクして熱が上がり、酸素が足りなくなって吐き気や頭痛がすることもある。要するに自律神経が乱れるのだ。
このような話をすると、HSPではない人からは不思議に思われるかもしれない。でも、心当たりがある人もきっといるはずだ。
そんな僕からすると、昨今の社会情勢におけるリモートワークの標準化は歓迎すべき事象だった。周囲に誰もいない環境で特定の相手とオンラインでのみコミュニケーションを取れさえすれば仕事が進められるのである。これほど精神的にラクなことはない。
人によってはオフィスでの偶発的な雑談が大切だという意見もあるし、僕もそれ自体には肯定的ではあるけれど、それは「こちらが話したい時に話したい相手とのみ行う雑談であれば」という条件つきだ。自分の仕事に集中しているタイミングや、そもそも気の合わない同僚と雑談をするほどの心の余裕は僕には無かった。
そんな僕がたどり着いた生き方が、会社を辞めて独立することだった。僕自身の気質をどうにも変えられないのであれば、自分に合う環境に身を置くことが対処法として適切であると考えたのだ。仕事の内容についても、なるべく不特定の相手とのコミュニケーションを必要とせずに食い繋ぐことができるように努めた。
その結果、僕は対人関係におけるストレスをほとんど感じることの無い日々を送ることができるようになったのである。
僕だって本当はもっと気を緩めて生きられれば良いとは思っているものの、これに関しては生まれながらの気質であり、先天的な特徴である(と言われている)のでどうしようもできないのだが、とはいえ自分の意識を変えるための努力を全くしていないわけではない。
たとえば、HSPではない人たちの思考回路がどうなっていて、どのような行動を取っているのかを知るために書籍を読み漁ったり、Twitterでさまざまな価値観の人と程よい距離感を保ちながらコミュニケーションを取ったりすることで、参考になる情報があればインプットをして、適宜自分自身の生活にも取り入れるようにしている。
その中で最も効果的だったのが「呼吸」だった。これだけサウナについて語っておきながら、実はサウナではない。
サウナはあくまで刹那的な快楽を享受するために利用しているだけであって、僕はそれ以上のものは求めておらず、肌質が改善したり肩こりの症状が軽くなったりすることもあるけれど、それはただの副産物だと思っている。
正しい呼吸は僕の精神を安定させてくれた。呼吸と自律神経の関係については学術情報のデータベース「CiNii」で検索をすれば論文がいくつもヒットするけれど、人間はストレスを感じると呼吸が浅くなって、脳に酸素が届きにくくなり、そのほかにも身体的にさまざまな作用が働いて自律神経が乱れやすくなるらしいのだ。
通常であれば人間は無意識に呼吸をして脳に十分な酸素を送ることができているけれど、ストレスを感じたり蓄積させたりすることで呼吸が乱れることがあるならば、今現在の生活を送る上では特に必要性を感じていないとしても、やはり強制的にでも気分転換の機会を設けたほうが良いのかもしれない。
ーーたまにはちょっと遠出してみても良いかもしれないな……。
僕は荷物をまとめて、千葉県は舞浜駅に向かったのであった。
ーー後編に続く
(written by ナオト:@bocci_naoto)
YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/channel/UCOXI5aYTX7BiSlTt3Z9Y0aQ