じゃ夏なんで
夏が来た
待ちに待った夏が来た
暑いのは好きじゃないのに夏が好きだ
夏と言えば熱いお茶だ
夏と言えば意味深なシャワーだ
夏に思い出すのは
高校2年生の時に書いた読書感想文だ
もう33年も前なのか
歳をとるはずだ
多感な高校2年生の僕は
本屋に並ぶ課題書籍には目もくれずに
一冊の本を手に取った
タウンページだ
真面目に言うんだけど
小学生の頃から
結構好きで読んでいた
擦り切れるほど読んだタウンページの
感想を以下のように纏めた
・○○町には電気屋が多く、地域の電化製品のシェアを担っている
・○○市には葬儀屋が多い事から、高齢者が多い事や火葬場に近い事が考えられる
・このことから、我が○○市は先祖代々、○○の事業が盛んであったことに対し、先祖に感謝する事はもちろん、後世に引き継ぐことが重要であると感じた
作文用紙にペンを走らせた
まるで昭和の文豪が乗り移ったかのように
僕のペンは止まる事を知らない
まるで16歳の衝動を表すかのように
提出して2日後に何故か呼び出された
県のコンクールに出す話らしい
と言うかそんな訳もなく
お説教・書き直し・親呼び出しの見事な三段活用
国語の先生は呆れた顔で言葉を発した
先生「あのな、感想文をなめているのか(怒)」
平謝りする親を横目に
次は何で書こうかと思案している無反省な僕がいた
有り難い事に再提出のチャンスをもらった
『チャンスは最大限にいかす』
昔の偉人の言葉だ
万人が予想する通り
僕は『ハローページ』を手に取った
今では廃盤の書籍だ
怒られる事なんか全く気にしていないで
一文字一文字ペンを走らせる
滑らかだ
ゾーンに入っている
・○○町には「橋本」という名字が多い事から、川が多く、橋が多く架かっている地域なのではないか
・○○町には「佐藤」「入江」「野沢」が8割を占める事から閉鎖的な地域だったのではないか
書きたいこと書いたし
自分が間違っていると微塵もも思わなかった
理解しない第三者が悪いと言わんばかりの
怖いもの知らずの16歳
その名はボブフロムエルエー
案の定、国語の先生と職員室で押し問答
見兼ねた教頭先生(元国語教師)が一喝
教頭「あのな、何とかページで書くのは構わんが、お前が書いてるのは読書感想文ではない。小論文だ。わかったか。考察じゃなく感想を書かなきゃいかん。」
一同「・・・・・・・・・・。」
こうして僕の夏は終わりを迎える
草むしりというペナルティとともに
読書感想文を3回書き記すという
無謀な夏であったことは記憶に刻まれる事だろう
ちなみに3回目に書いた感想文の作品は
「おしいれのぼうけん」だ
幼稚園の頃大好きだった書籍で
僕の子供達も読んでいり
親子2代のお気に入り絵本だ
最終的にこれも叱られたけど
絵本やら電話帳やら
先生を困らせていたなあと
齢50近くになって反省している
眩しい16歳の夏はこうして終わりを告げた
女の子の夏服が眩しい時期を見ることなく
草をむしりながら
夏の終わりを心の何処かで感じていた
今思えば梶井基次郎の檸檬でも読めば良かったと
深く反省している
反省と挑戦に遅すぎる事はない
じゃ夏なんで拝