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圧倒的バカ

推しバンドのことを考えていたら
仕事道具を丸ごと忘れた

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いつもより遠回りする行き方で電車に揺られる
そうして、聴き慣れた推しバンドの曲を流す

あの人の曲っぽさを感じるな
インタビュー記事を漁ろう
やはりルーツはあの人みたい
なるほど
ここからイメージを
この曲は私の知らない往年ロックスターがルーツらしい
聴いてみよう
確かに似ている!
というかまんま

耳は爆音で塞ぎ、目はインタビュー記事に釘付けになりながら、慣れたすぎた通勤経路を行く。

それにしてもインタビュアーとミュージシャンのやり取りってかっこいい。あの曲に似てますねとスパッと言い当てるインタビュアーとそれに負けない知識量で曲について語るミュージシャン。この光景を遠くからでもいいから見学したい。と思ったのも束の間、記事の最後はAV女優と対バンしたいと訳のわからない夢で締め括られていた。

バカだな〜と思いながら、職場の最寄りに降りたったところで今、この世で最もバカな出来事に気づく。仕事道具を丸ごと家に忘れている。あまりに夢中だったため今の今まで気づかなかったのだ。何をしに今日ここに来ているというのか。バカ度で言えば圧勝。

あぁ、本当にバカだな、私も。

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