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パリ人肉事件・佐川一政の連載プロローグ ~佐川一政、精神科入院中エピソードから連載タイトルを決定
2022年12月、佐川一政が死んでいたと伝えられた。
さほど大きなニュースになることもなく、SNSでチラホラ拡散されていた程度。
多少の面識はあったものの…、正直これといった言葉もなければ、感情が動くようなこともなかった。
彼が物書きとしての仕事を失い、渇望していた露出機会も得られず困窮していった晩年。
思えば「不謹慎」「不愉快」を扱うサブカルチャーもまた、ほぼ息をしていなかったような。
彼の死が報じられてから約2週間。
なんば紅鶴で佐川一政追悼イベントを開催する運びになった。
まぁ、イベントテーマもロクに固まっていなかったため、「2時間ちょっとで語りつくせる時事ネタとしてちょうどいいかも」くらいのノリだ。
そんな追悼イベントを開催するにあたり、HDに眠っていた当時の佐川一政連載を読み返してみたところ…。
そこには懐かしい「不謹慎」「不愉快」があった。
これも何かの縁。
思えばこのブログも息をしていなかった。
終活程度の感覚で、手元に残っている過去記事をツラツラ再掲載していこう。
「再掲載」を念頭に改めて連載を読み返してみると…、蘇る当時の厄介事。
そうだ。
彼の記憶で語られるエピソード、信ぴょう性と時系列がどうも怪しかったんだ。
とは言え、この場合優先させるべきは…、当時のバイブス。
そんなわけで…、最小限の手直しのみでレッツ再掲載!
「パリ人肉事件・佐川一政の連載プロローグ ~佐川一政、精神科入院中エピソードから連載タイトルを決定」
掲載年月日:2010年詳細年月日不明 掲載サイト「携帯サイトB級ニュースGON!」
1981年6月11日、フランス・パリ。一人の日本人留学生が巻き起こした事件に世界は震えた。
『カニバリズム(人間が人間の肉を食べる行為)』
当時聞き慣れなかったこの言葉が世界中の誌面に踊るという、ショッキングかつ凄惨な事件。
事件の大きさとは裏腹に、逮捕された男が司法により罰を受けることはなかった。
心神喪失を理由にフランス司法が「無罪」という判決を言い渡したのだ。
あれから29年ーー。
“善良な一般市民”として暮らしているパリ人肉事件・加害者、佐川一政氏を尋ねた…
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ーー今回はGON!で連載いただけるとのことでありがとうございます。まずは連載開始にあたって簡単な自己紹介をお願いします。
佐川一政“いっせい”と読みます。私は未熟児として生まれ、虚弱児として育ちました。パリでとある小さな事件を起こしまして、それからは世間の注目を浴びてしまい大変でした。
私は昔から文筆活動が好きで、名だたる大先生方にも評価を頂き、書物も何冊か出しています。
両親の後ろ盾もあり暮らしには不自由することがなかったのですが、両親が死んでしまってからは躓いてしまいました。
今では自己破産も経験し、生活保護と障がい者手当を頼りに生きています。
ーー連載ではどんなことを伝えていきたいですか?
そうですね。私は事件後の30年余り差別を受け続けて来ました。
世の中差別だらけです。最近の朝●龍問題だってそうでしょう。朝●龍が白人だったら引退させられましたか?朝●龍が白人女性だったら引退させられましたか?
させられるわけがありませんよ。石●都知事が「朝●龍は日本の横綱じゃない」なんて馬鹿な発言をしてましたが、あんな発言をして、よく物書きだなんて言えますね。
ですからこのように暴言ととれるようなことでも、「言いたいように言う」という事にしたいですね。タイトルにしてもいいかと思っています。
ーー早速連載タイトルの話ですね。では「言いたいように言う」をタイトルにしましょうか。
あ、待ってください。私はパリでの事件後日本に戻り、松●病院という精神病院に入院させられたんです。
そこに名物患者がいましてね、ダンボール紙で作ったような軍服を着込むド●ター●松みたいな男だったんですが、自分のことを“将軍”と言うんですよ。皆も彼のことを“将軍”と呼んでいました。
将軍については今度詳しく話しますが、彼素晴らしい名言を残したんです。
ーーどのような名言ですか?
将軍はこう言ったんです。
『世の中狂っとる』
狂っているのは自分ではないと。今は私もそう思います。
こちらをタイトルにするのはどうでしょう。
ーーわかりました。それでは連載タイトル『佐川一政 世の中狂っとる』ということで今後もよろしくお願いいたします。
こちらこそよろしくお願いします。
あ、すみません。私糖尿病でインスリンを注射しているのですが、定時に食事を取らなくてはいけないんです。
よかったら何か…、お肉でも食べに行きませんか?
ーーや…、やっぱりお肉になっちゃいますよね!わかりました。いきましょう!
次回予告!パリ人肉事件『佐川一政 世の中狂っとる』佐川一政、大いに肉を喰らう!
【再掲載後記】
後に判明したのは、この将軍のエピソード。
将軍と呼ばれた人物は実際、例の病院にいたとかいないとか。
将軍の逸話は幾つか残されているのだが…、どれも大正時代のもの!
佐川さんの語り口では、同じ時期を過ごしたということなのだが…。
そのため、後に語られる将軍エピソードの時系列調整に難航した記憶がある。
「話を聞かせてください」
そんな人間が目の前で耳を傾けていれば、まぁ誰でもそうなる。
喜ばせようと、笑わせようと、興味を駆り立てようと、話を盛ってしまうもんだ。
それは犯罪歴の有無が関係するようなものではないだろう。