イノベーションや新規事業など上手く行くかどうかわからない手探りの課題
一般的にイノベーションは「プロダクト」「プロセス」「市場」「サプライチェーン」「組織」の5つに分類されます。特に日本で多いのは「プロダクト・イノベーション」ですね。先日、支援先企業のプロマネの方が悩んでいたテーマでもあるので、今日はそんな話をしましょう。ちなみに最近では「組織イノベーション」も台頭してきています。僕たちのような外部コンサルタントを雇うのもその一環です。外部コンサルタントは組織に新しい視点や専門性をもたらし組織の成長や効率性を向上させる役割を果たします。
さてプロダクト・イノベーションです。これまでオープン・イノベーションの支援をしてきた経験からいうと、最初の問題意識と自らへの問いが決定的に重要です。そしてアイディエーションから製品プロトタイプまでを一気通貫して行います。これは僕たちのパートナー会社が行った事例ですが興味深いので紹介します。『N社のホームケアチームは消費者が望んでいる本当に必要なことに対処しようとしました。「生活者はキッチンスペースを有効活用したい」。それは様々なカタチの洗剤容器の問題でした。これらは小さいマンションのキッチンでは保管しておくスペースが不足していて、幾分かのストックボトルを収納することさえ贅沢なことでした。私たちはプロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、インダストリアルデザイナーを招聘しました。そして異なる様々な形状の洗剤を、機能性や使い勝手を損なうことなくスペースを保つ「ひとつの形状」に集約するアイデアを作り出しました。結果、25のユニークで先見性の高いアイデアを生み出し、更にクライアントとの共創を通じてより大胆なコンセプトに昇華させました(僕たちのイノベーション・プラットフォームのパートナー会社CEO、Phil James氏)』。
このようなプロダクト・イノベーションは様々な経験を積んだ外部プロフェッショナルが取り仕切るのでかなりの精度で成果が期待できます。特にイノベーションを伴う新規事業を成功させる時に一番の不安は「手探り」で前進しなければならないことです。そして前進できればまだしも、途中でサスペンド(一旦ストップ)される結果になることも多いのではないでしょうか。そのようなこともあり、現実的に製品化されるものは「それまでの目線を変える新しいアイデア」のようです。例えばオレオに対するミニオレオのようなものです。「オレオが小さくなっただけではないか」と思うかもしれません。製品としてはその通りですが、そこに「母親に知られず、こっそり食べられる(ターゲットは小学生)」「キャンディのように舌の上で転がして楽しめる」といったバリュープロポジションが打ち出されるだけで、クッキーやビスケット・カテゴリーに対する「それまでなかった見方」や価値が生まれます。これもプロダクト・イノベーションの好例といえるでしょう。見慣れた製品の意味合いや位置づけを新たに定義してやるのです。このレベルのイノベーションであればもっと気楽に前進できそうです。サスペンドされることもない。そのコツは「ラインエクステンション」「カテゴリーエクステンション」「新ターゲット市場」「価格」それに最近では「持続可能性」でしょうか。これら見慣れた言葉を立体的に捉えて戦略的・マーケティング的に組み立てると立派なプロダクト・イノベーションが出来上がります。参考にしてみてください。