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嫌われる勇気【前編】
こんにちは。
本日は岸見一郎さん、古賀史健さん著作の【嫌われる勇気】について書評と自分なりの考察などを綴っていけたらと思う。
この本は人の人生を変える力のある数少ない本の一つである。
これほどの1冊は人生の中でも出会える確率はかなり低いと言えるかもしれない。
この世の全ての人類にオススメしたい1冊だ。
対話形式であるが故に、素直に本に入っていくのは容易。
しかしながら、アドラー心理学の深さ、理解、実践の難しさは個人の想像を超えるところがある。
筆者もいまだにアドラー心理学の理解、実践が完璧にできているとは到底思えない。
それほどアドラー心理学の本質は深く、また実践はさらに難しい。
しかしながら、人類がアドラー心理学の目指す理想へと歩み続ければきっといい未来が待っていると筆者は考えるところである。
アドラー心理学とは人道の究極であり、この心理学の掲げる理想こそが人の到達点だとも言えるだろう。
①原因論から目的論への転換
人にはトラウマがある。
たとえば、学生のころにイジメにあって引きこもりになってしまった人がいるとする。
現代の典型的な考え方をすれば
過去にイジメられたことがトラウマ→トラウマのせいで外に出れない
という図式となる。
これはかの有名な心理学者フロイトが提唱した原因論に基づく考え方だ。
一方、アドラー心理学ではフロイトの原因論的な考え方ではなく、目的論という考え方を提唱している。
目的論とは、原因があるから行動を起こしている、ではなく、まず本人が達成したい目的がある。
その目的を達成するための行動を起こしているという考え方である。
つまり先ほどの例でいくと
外に出たくないという目的がある→イジメれらたという過去を持ち出して目的を達成しようとしている
といった図式となるのだ。
なぜその人に外に出たくないという目的があるのかは人それぞれである。
外に出ないことで親が彼を丁重に扱ってくれたり、外に出ることで引きこもっていたことを周りの人にバカにされるのが怖いといったことがあるのかもしれない。
いずれにしても、本人が自覚しているかは置いておいて、多少の不満があっても、今の状態の居心地がいいために引きこもるという行動を起こしていることになる。
つまりアドラー心理学はトラウマというものを明確に否定している。
これはアドラー心理学の基本的な考え方の1つだ。
②私たちはいつでも変われる
つまり目的論的な考え方をすると、私たちは目的さえ変えればいつでも変われる、過去になにが起こったかなど関係ないというスタンスをとることになる。
これがアドラー心理学が人生の劇薬と呼ばれている由縁の一つだ。
あの上司を嫌っているのも
「上司を嫌いになりたい」という目的があった上で、「嫌う要素を自分で探している」ことになる。
失敗した部下を叱責するのも
「部下を支配したい」という目的のもと、「怒りという感情を手段として使っている」のだ。
アドラー心理学は自分の中にある目的を変えることによって、おのずと周りとの関係、つまり世界を変えることのできる学問であり哲学なのである。
③人間の悩みは、全て人間関係の悩みである
これもアドラー心理学の受け入れがたい理論の一つである。
確かに私たちには人間関係のしがらみは多い。
しかしながら、全ての悩みが人間関係の悩みだっていうのは飛躍しすぎじゃないか。
だってボクは身長が高くないのが悩みだ。
わたしは目が大きくないのが悩みよ。
こういった方々も数多くいることだろう。
しかし改めて考えてみてくれ。
あなたはなぜ自分の身長が低いと思ったのか。
あなたはなぜ目が小さいと思ったのか。
そこには必ず(あの人と比べて)という文言が隠れていないか。
つまり極論をいうと、あなたがもし宇宙で一人で生きていたならば身長が低いだとか、目が小さいという悩みはあり得ない。
あなたの身長はあなたの身長である。
そこにはなんの意味付けもない。
そこに「ボクは身長が低いから劣っているんだ。」という意味付けを行っているのはあなた自身である。
わたしたちは自分で自分のライフスタイルを決められるとアドラー心理学は語る。
つまり自分が主観的に下している意味づけをいつでも自由に変えることができるのだ。
身長が低いことを短所と見るのかまたは、人を安心させられる長所と見るのかは、今ここにいるあなた次第なのである。
以下、後半に続く。
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