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vol.62 ブルースタジオの相談窓口を、編む

みなさま、はじめまして。
ブルースタジオの岩田と申しまして、賃貸住宅等事業用案件のご相談窓口を担当しております。

年齢は現在53歳、大阪府出身、3人の息子を共働きで育てるオトウチャンです。
とはいえ、もう長男は20歳を過ぎたので、息子たちからはあまり相手にしてもらえなくなっている状況です。。。(詳しくは弊社WEBページのスタッフブログをご参照ください。文中に「オトウチャン」と書いてあれば、私の記事です。)
私の前職が、弊社クリエイティブディレクターの大島と同じ設計事務所でして、大島がブルースタジオに参画した2000年の3年後2003年入社の、22年目の古株です。

入社した頃の岩田(左から2番目)。一番右が大島クリエイティブディレクター
※ 2003年11月発行の書籍『リノベーション物件に住もう!〜「超」中古主義のすすめ』より

「ご相談窓口」と書きましたが、もう一つの肩書きに「管理建築士」というものがありまして、これは「一級建築士事務所ブルースタジオが、きちんと建築関係の法規を守って業務を実行していくよう管理する役割」です。
このように書くと、「随分頭の固そうなオジサンじゃないか」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。関西弁を駆使して柔らかくお話ができるよう常に心がけております。


①ご相談について

<不動産事業や土地・建物活用等のご相談の流れ>

問い合わせの入口としては、ご紹介の場合を除いて、ブルースタジオのWEBサイトから「お問い合わせ」をいただくことがほとんどです。

左側にある青色の「お問い合わせ」ボタンからお問合せフォームにリンク

ご相談のされ方としては、それぞれのオーナー様・事業主様によりさまざまです。
例えば、「~で築○○年のマンションについて、なかなか入居者が入ってくれなくて困っており改修したいので相談に乗ってほしい」、「古いアパートがある土地について、もっと大きな賃貸住宅に建て替えたい」、「土地と古家がいくつか所有しているのですが、どれを活用すべきか相談したい」などなど。

ご相談内容や対象地の位置などにより対応の仕方が変わることもありますが、まず現地に伺って詳しいお話をお聞きすることがほとんどです。
たとえ同じようなご相談内容であってもその事業主さんやご家族の状況、土地の周りの状況などによりご相談に対する答えは変わってきます。ですので、まずはお困りの内容や事業主さん自身のお考え、対象となる物件の情報等、状況をいろいろお伺いして、総合的に良いと考えられる方向性をその場でお話しします。

<ブルースタジオの3つのデザイン>

ブルースタジオは、建築・不動産・広告の「3つのデザイン」を行うコンサルタントとして、事業に関するアドバイスを差し上げています。この「3つのデザイン」を等価に考え適切な方向性をお示し、これにより費用対効果の高い事業を実現することが、我々固有の強みとなっています。

ブルースタジオの「3つのデザイン」

<ご相談を受ける際に心がけていること>

ご相談を受ける際に私が心がけていることは、「自分がもしその事業主さんだったら」という目線でお話をすることです。
というのは、たとえ自分たちの仕事にしたいからという理由で無理にお話を誘導しても、その後計画や設計・工事を進めていく長いお付き合いをすることになる中で、無理があると結局うまくことが運ばなくなるからです。
施工会社さんによくありがちなのが「できるだけ大きな工事をしてもらいたいからその方向に誘導する」ことです。これはある意味、工事で稼ぐという仕事である施工会社さんとしては当たり前なのですが、我々はそうではありません。

また、ご相談いただく方の「目的」をお聞きすることが非常に重要と考えています。
単純に「不動産活用」という視点で最初はご相談いただいても、よく話を聞いているとそこには、その方固有の複数の「目的」があることがほとんどです。
例えば、不動産活用による収益、相続対策、家族の資産を守ること、事業承継、本業を活かしたい、趣味を活かしたい、まちを盛り上げたい、仲間を作りたい、不動産業としての新しい活動をしたい、自分が楽しみたい、など。
その方の「目的」を理解すると、実はご相談いただいたのが例えば「アパートの建て替え」であっても、実はその「目的」を達するためには違う手段を実行した方が良い場合もあります。

このように考えてお話しすることで「今回は、我々がお手伝いすべきでないですね」という結論になる場合もあるのですが、そのあたりの考えも率直にお伝えしています。そうすることで、また後日、違う案件や違うご相談をいただけることが実は多いです。

長年この仕事をやってきて、ご相談窓口としては「自分と同じ目線で考えてくれている」とご相談いただいた方に感じていただくことが、結局一番重要なことだ、と実感しています。

②具体的にプロジェクト化したものについてのご相談内容の例

1.わの家「千峰」


まずはリノベーションの事例として、わの家「千峰」のご相談時のお話しをご紹介いたします。
わの家「千峰」は、中野区の野方商店街の裏手にあるシェアハウスです。
この建物は、オーナーの石川様が子供の頃過ごした築85年を超える30坪ほどの木造平屋のお宅であり、お住まいになっていたお母様が他界され相続されたという状況でした。
石川様のお考えは明確で、お持ちの物件について今回の事業期間をひとくくり20年と仮に設定され、その間この建物を運用したい。それなりの利益が出ればOK。というお考えでした。
お母様はとても雅な方だったようで、琴、三味線、小唄、お茶、日本画、日本人形づくり、染物、着物、など様々なご趣味を嗜んでおられたとのこと。私が現地に伺った際には、建物の中はお母様の作品などでいっぱいでした。築年数が古いので劣化しているところは多いものの、また木造平屋の建物には中庭がありそれを囲んで部屋がある、今の時代に都内には滅多にないとても贅沢な空間と感じました。
築年数がかなり古いので構造の歪みの補正や構造補強をはじめ工事費はかなりかかりそうでしたが、建物の良さと立地の良さを踏まえてしっかりとしたブランディングを行い、それに沿った計画をし、この場合の賃料収入を想定すると、石川様のお考えの通りの運用が可能そうである旨をお伝えし、計画を進めることになりました。

「千峰」というのはお母様の雅号
「20年間の運用」というのは、娘さんにこの不動産資産を引き継いでいくということを踏まえたお考えでした。
お聞きしたこの目的の他に、オーナー様ご家族がお母様の記憶やここで過ごした記憶を非常に大切に思われていると感じ、その記憶そのものがこのシェアハウスの価値になるようなブランディングを提案し、計画を進めました。「千峰」というのはお母様の雅号です。
お母様「千峰さん」にゆかりのあるものたちに囲まれて、まるで昭和のような空間で日常を過ごせるシェアハウスとなっています。

わの家「千峰」 広間から中庭にあるデッキスペースを望む

わの家「千峰」オーナー様インタビュー

2.テラスコナサーフ


もう一つ、リノベーションの事例として、「テラスコナサーフ」のご相談時のことをお伝えいたします。
「テラスコナサーフ」は鎌倉駅から由比ヶ浜に向かうちょうど中間あたりにある90坪ほどの賃貸共同住宅です。
オーナーの朝田様ご夫妻からお問合せをいただき、お父様から相続されたこの築30年弱のハウスメーカーの木造ツーバイフォーのアパートをどうするのが良いか、というご相談でした。
築年数が経るに従い、なかなか入居者が決まらない状況となっており、建替をする場合は建て替え資金とするために土地の半分を売らないといけなくなりそうとのことでした。建替が良いかリノベーションが良いか、というお話になりましたが、リノベーションをお勧めして計画を実行することになりました。
というのは、隣接する土地にご実家の土地もあり、将来的な土地の活用を考えると半分の土地を売却することは好ましくないと考えられることと、工夫の仕方によってこのアパートの魅力は十分出せると感じられたからでした。また、お話をしている中で、せっかくお父様が残してくれた土地とアパートをできれば活用したいという思いがあることも感じられました。

鎌倉ビギナーのための賃貸住宅
そこでブルースタジオとして、都内に勤める生活者をターゲットとして「鎌倉ビギナーのための賃貸住宅」にリノベーションすることをご提案し、計画を実行することになりました。
ちなみに「テラスコナサーフ」という物件名称は、お父様がもともとこのアパートにつけておられた名称です。
ウクレレでハワイアンを弾かれるご趣味があったというお父様が名付けられたこの名前をヒントに、アパートの前面にあった駐車場のところに階段を兼ねたステージ状の共用テラスを設けるなど、鎌倉ならではのナチュラルな暮らしを感じられるような設えにリノベーションをしました。
実際に入居者のほとんどが東京からの移住組となり、オーナー様ご家族とも交流しながら鎌倉ならではの日常を過ごされています。

「テラスコナサーフ」 オープニングイベントの様子

「テラスコナサーフ」オーナー様インタビュー

3.tento


新築の事例として、「tento」のご相談時のことをご紹介いたします。
「tento」は世田谷区赤堤にある4戸のべ約60坪の木造賃貸住宅です。
オーナーご夫婦からお問合せをいただき、2棟の賃貸住宅についてこの先どのように運用するのが良いか、というご相談でした。
結果的に2棟のうち1棟を建て替え、「tento」が出来上がりました。
お問い合わせをいただいた直後には、既存建物をリノベーションをして活用する場合、2棟とも解体して建て替える場合、築年数の古い方を建替える場合でざっくりと比較して検討しご報告をしました。
オーナー様の長い目で見た資産運用として総合的に検討して、いきなり多額の投資をして両方建て替えるより、築年数の古い方を建て替えるのだけれども、この2棟の間の庭の価値を上げることにより建て替えない方の賃貸住宅の価値も上げていきましょう、という方向で計画を進めました。

「おてんとさま」の恵みとうららかな陽射しに満たされた暮らし
赤堤は世田谷区の落ち着いた住宅地であり、南側の道路の電線は地中化され電柱がなく非常に明るく気持ちの良い街角に「tento」はあります。
「おてんとさま」の恵みとうららかな陽射しに満たされた暮らし、というコンセプトのこの賃貸住宅は、コンパクトながら落ち着いた暮らしを求める入居者の方々に好評をいただいております。

 中庭側から「tento」を望む

「tento」ポートフォリオページ

4.はちくりはうす


最後の例として、最近の新築の事例「はちくりはうす」のご相談についてお伝えいたします。
「はちくりはうす」は、目黒区五本木にある、鉄筋コンクリート造のべ約110坪の障害のある方のシェアハウスです。障害のある方のシェアハウスと書きましたが、「支援する人・される人・地域の人の” ご縁を結ぶ” シェアハウス」という考えに基づくものであり、法的な建物用途としては、「店舗・児童福祉施設等・寄宿舎・住居」の複合施設となっています。
なぜこのような複雑かつ見たことのないような建物になっているのか、これは全てオーナーの竹村さんの思いからはじまったものです。

竹村さんの一貫したお考えを元に
竹村さんご自身が障害のある娘さんと一緒に暮らすなかで感じられた、「まちの方たちと関わりながら娘さんが暮らせる“居場所”をつくってあげたい」という一貫したお考えを、相談時からずっと持ち続けられていました。
とはいえ、この計画を実行するための建物や土地はお持ちでなかったので、物件探しからのお手伝いとなりました。
ブルースタジオの不動産部が担当しご相談しながら、当初はリノベーションを想定されて改修してこのような用途に変更できそうな物件を探しましたが、なかなか該当するような物件が見つからず、土地を探す方向にシフトしていき、なんとか土地が見つかり、取得いただいて、設計を行い、2023年8月に完成しました。
娘さんと障害のあるご友人が暮らしながら、1階の日替り店主のカフェを訪れる街の方々とも、手作り市などのイベントを共に楽しむ関係ができてきています。

目黒区の住宅地のまちかどに建つ「はちくりはうす」

「はちくりはうす」については、このような短い文章で表せるほどシンプルな施設ではありませんので、ご興味がある方は下記リンクの記事を是非ご参照ください。

「はちくりハウス」竹村眞紀さんと、編む<プロジェクト編>
「はちくりハウス」竹村眞紀さんと、編む<インタビュー編>

③今後考えていること

<東中野のブルースタジオ新オフィス>

ブルースタジオの本社は築地にございますが、この度新たに、東中野にもブルースタジオのオフィスができました。(築地にオフィスができる以前にブルースタジオのオフィスがあった場所です)
ブルースタジオ専務取締役大島が代表者である大島ビルディング株式会社が事業主で、ブルースタジオが設計したOSmeliaという8階建木造オフィスビルの5階です。
このプロジェクトは、建築・不動産業界において大多数を占める「中小規模事業者」でも計画可能な「小規模耐火木造ビル」の建築・不動産モデルを構築し普及をはかることで、 本質的な『都市の木造化』の促進を目指すものです。

東中野1丁目新築プロジェクト

このようなコンセプトの建物ですので、できるだけ多くの方に見ていただきたいと考えています。
この東中野オフィスを活かして、ご相談いただいくお客様やご相談前でも弊社にご興味をもっていただいている方との接点となるイベントを開催するなど、今後はブルースタジオのメンバーと気軽に交流いただけるようなアクションをしていこうとしています。

このビルの1階にはgout-temps(グータン)という「イタリアン・鉄板焼き」の美味しいお店が入っていますので、お客様と一緒にこの店でお食事をするのが、私の目下のささやかな野望です。

小規模耐火木造ビル「OSmelia」   このビルの5階にブルースタジオのオフィスができました

<是非、お気軽にお問い合わせください>

この記事では具体的なプロジェクトになったもののご相談例をご紹介しましたが、これら以外のケースについてもご相談内容はさまざまです。
ご相談いただく方々は、皆様違う状況と違う目的をおもちなのは十分理解しておりますので、もし「こんな相談してもいいのかな。。。」と思われても、お気軽にご相談いただければと思います。

場所が東京や東京から近ければ、ご相談の際に現地に伺うのは無料ですのでご安心ください。(遠方の場合に現地にお伺いする場合は、幾らかのフィーをいただくことになりますが、まずはオンライン打合せなどをさせていただければ幸いです。)
仮に、その時はブルースタジオがお手伝いすべき内容でなかったとしても、私の観点から何らかのアドバイスを差し上げることができると思います。

是非、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

賃貸オーナー・不動産事業者様 お問い合わせフォーム

最後までお読みいただきまことにありがとうございます。これから皆様とお会いする機会を楽しみにしています。


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