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映画『Cloud クラウド』
黒沢清の監督作でお気に入りなのは、順不同で『CURE』『回路』『ドッペルゲンガー』『叫』。『Cloud クラウド』は、僕にとってはこれらの作品のどれとも異なるわかりやすさで、変な表現だが、最後まで安心して楽しむことができた。
前半から後半への鮮やかな展開。ヘヴィな内容に反したテンポの軽やかさ。狂っている人たちが普通に描かれる異様さ。スクリーンから目が離せなくなる構成と演出は見事だ。
登場人物の誰ひとりにも感情移入できないのだが、奥平大兼が演じる佐野の、ある意味でヒーローぶりが、こう言っていいのかわからないが、かっこいい。菅田将暉と共に、完全にもうひとりの主役だったと思う。佐野の背後は謎だが、それを詮索したり想像しても意味が無いのだろう。
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佐野に代表されるように登場人物の狂気はそれぞれなのだが、中でも村岡を演じた窪田正孝のそれが突出していた。彼の視線だけで怖い。狂気を演じたら今はピカイチではないか。
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鑑賞後に湧きあがってきた静かな興奮で、あらためて過去の黒沢作品を観返したくなった。まずは冒頭にあげた4作品からにしてみたい。この映画を観た後では、また違った感想を持つような気がする。