映画『朽ちないサクラ』
映画『楽園』で注目度が俄然あがり、昨年の『市子』でぶっ飛ばされ、そして終わったばかりのドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』で個人的興味が最高潮に高まり深まった杉咲花が主演。さらに " 警察 × サスペンス × ミステリー " というコピーには僕の好物が並んでいる。いつも通り劇場で予告編にふれただけの事前情報を持って足を運んだ。
鑑賞後の感想は、よくこれだけの内容を2時間で上手くまとめたなと思った反面、とても2時間じゃ足りないとも。しかし、これ以上長くすれば誰もが納得できたものになったのか。それはわからないし、決してそうとも思えない。おそらくちょうどよかったのだろうし、鑑賞後に観客自身の想像で完成される映画でもあるのだ、きっと。
スクリーン上で展開する物語とは比例しない映像に感じたのも独特。僕だけかも知れないが、闇が闇として描かれず…というか、観る側に感じさせないのだ。それは俳優陣の演技も同じで、登場人物の台詞や表情がダイレクトに迫ってこない。喜怒哀楽がそのままではなく、いちどフィルターを通した感情として伝わってくるような感覚。不思議な鑑賞感だった。そう思った理由は、上手く言えないが、動く映像ではなく何枚もの画…という表現がもしかしたらいちばん近いかもしれない。だからといって没入できなかったことはなく、結果的にストーリーを自分の中で膨らませながら観ることになったからか、かえって伝わってくる恐ろしさが後を引いた。特にクライマックスである終盤の杉咲花と安田顕。二人の目、表情、声など全てに引き込まれた。見応えあるシーンだった。
杉咲花。早く次回作を観たい。
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