映画「少年の君」を観て
12日30日「少年の君」という映画を観た。原題は「少年的你」。2019年の中国香港合作映画で、デレク・ツァン監督の作品だ。
キャストは、チェン・ニェン役のチョウ・ドンユィ、シャオベイ役のイー・ヤンチェンシーなどである。
*****************************
あらすじは、
と、いった内容。
で、観終わっての感想。
自殺者に、カメラを向ける異常さ
このシーン、許せないね。
でも、これって、現代の問題ではないかと思ってしまうのだ。
この高校生たちでなくても、いまボクらの国でも、
もし事故が起きたら、携帯で動画を撮る人がいるだろう。
それも、山ほど。
人を助けずに、動画を撮り、その上SNSでUP。
もう、これは、現代の異常さでもある。
これを異常だと思わないことが、すでに異常なのである。
いじめ問題の闇
この映画の中の、いわゆる「いじめ問題」。
かなり闇深く、それも、周りに分からないような「巧妙な手口」でのいじめが増えているということだろうか。
また、周りの無関心も、いじめに加担していると思わざるを得ないのだ。
それは、いじめっ子グループの一人にも当てはまる。
今までイジメていた側が、いじめられるケースである。
だから、一切関わらない無関心か、もしくはいじめる側に加担することで、自らを防衛しているのかもしれない。
まさに闇である。
いじめは親の問題でもある
主人公のチェン・ニェンの母親。とにかくひどい親である。
借金を抱え、子どもを置き去りに逃亡している。
なので、子どもがどういう状況になっているかなど一切気にしない。無関心そのものなのだ。
そんな中、主人公は強く生きている。
そこに襲い掛かるのが、いじめなのである。
そして、大人は守ってくれない。
教師は自分の保身に身をゆだねる。
何か問題があれば、生徒は置き去りで、他の学校へ飛ばされるだけ。
何の解決にも、ならないのである。
犠牲者は、いつも弱い子どもたちである。
刑事が嘘をつく、これってどうなの?
映画の中で、すごく違和感があった。
それは、捜査のために、刑事が嘘をつくシーン。
これは、中国だから許されるのか?
絶対だめだろう!と思ってしまう。
そのあたりが、この映画の嫌なところである。
最後に、主人公は事故のような形で、いじめる側のリーダーを階段から突き落としてしまう。その心情はすごく分かる。
でも、映画の真の加害者は、大人たちであり、無関心であり、社会全体なのである。
チェン・ニェンこそが、本当は被害者だと感じるのだ。