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映画「普通の人々」を観て

4月27日、「普通の人々」という映画を観た。
原題は「Ordinary People」。1980年のアメリカ映画で、ロバート・レッドフォード監督の作品だ。

キャストは、カルビン・ジャレット役のドナルド・サザーランド、ベス・ジャレット役のメアリー・タイラー・ムーア、コンラッド・ジャレット役のティモシー・ハットン、バーガー医師役のジャド・ハーシュなどである。

あらすじは、

シカゴ郊外の住宅地に一戸建ての家をもつジャレット家は弁護士の主人を中心に平凡だが幸福な生活を営んでいた。しかしある日、湖で長男バックと弟コンラッドのボートが嵐で転覆、バックは溺れ死んだ。助かったコンラッドもその後自殺未遂をおこし、精神病院に入院することとなった。
それから4ヶ月後、コンラッドは退院して再び学校に通い出すが、何も解決されたわけではなかった。彼に対してどこか冷たい母親ベスとは心を開いて話すことが出来ず、父親カルビンにも頼ることができずにいた。息子を心配するカルビンはコンラッドを精神分析医バーガーのもとに通わせることにした。通いだした当初は心を閉ざしていたコンラッドだったが、次第にその胸のうちを打ちあけるようになる。
コンラッドはかつて同じ精神病院に通っていたカレンと再会する。カレンは現在演劇部の部長をしていて既に病院には通っていないという。コンラッドは水泳部を辞めるがそのことを両親に告げず、他人から聞いて知ったベスは恥をかかせられたように責める。合唱部で声をほめてくれたジェニンとボウリングでデートして、リストカットを見つけられる。
バーガー医師の元へ一度通ったカルビンはベスにも医者に通おうと提案するが受け入れられず、クリスマスに二人はゴルフをしにヒューストンに。コンラッドはカレンに電話をかける…。

出典:Wikipedia

といった内容。

で、観終わっての感想。

「カノン」の音楽が、しみてくる映画

映画ので、カノンの音楽が流れてくる。
まさにこの映画のための音楽だと思った。
何とも、穏やかだけれど、何か悲しい。でも、それは永遠に続く。
そんな日常の生活の中に流れてくる音楽は、グッと心の中に染みてくる。

いつまでも自分を責め続ける主人公

兄の死が、主人公のコンラッドの心に大きくかかわっているのは、映画を観ていくうちにわかる。そのことで、彼は自分を責め続ける。そして、彼自身の人生を大きく変えてゆく。コンラッドの気持ちになれば、それはある意味あたり前で、どうしようもないことなのだと感じる。忘れることはできないし、自分を責めないこともできないだろう。
だから、当然普通にもなれない。これは、どうしようもないと感じた。
だからこそ、助けを求める意味で、精神科医の存在は大きいのだと思う。

「なぜわかる?」「友人だから」

コンラッドは、以前自殺を図っている。
病院にも入院して、普通の生活をしようと彼なりに努力をしている。でも、やはり普通にはなれない。
そして、精神科医のバーガー医師と出会う。
最初は心を開かないコンラッド。しかし、徐々にではあるが、心を開き始める。そして友人のカレンが自殺をしたのを聞いて、卒倒する。
助けを求めて真夜中に、バーガー医師に連絡。彼は、コンラッドに会ってくれるのである。
そこでの会話が印象的だった。
コンラッドが泣きわめきながら「なぜわかる?」と、医師に聞く。
バーガー医師はこう応えるのだ「友人だから」。
この言葉は、コンラッドに突き刺さる。そして、本当の意味で心を開くのである。

自分自身を愛していた母親

この映画の中の肝は、何といっても母親のベスだろう。
彼女とコンラッドは、観ていても愛情で結ばれていないのを感じる。
最初は、コンラッドの心が開かれていないからと感じ、母親のベスが可哀そうと思っていた。
しかし、それは夫のカルビンの中でも、何か言いようのない違和感を感じてたのかもしれない。
映画の中での言動や態度を、細かいところまで観てみると、そうか…と気づく。
カルビンは、長男が亡くなったときの葬儀でのことを思い出す。彼の中では常に心に引っかかっていたことである。シャツの色などカルビンにはどうでもいいことだった。でも、ベスは、シャツを変えるように言う。
そして、すべての行動や態度から、彼女の愛情の対象が”家族”でなく、”自分自身”であることに気づくのである。
そして、母親は去ってゆく。コンラッドに最後の言葉も告げずに・・・。
そこに流れる、カノン。

普通の見えた家族も、実はそれぞれが普通ではない。
世の中に生きる誰もが、実は何かしらを抱えている。
実は、普通なんて無いのかもしれない。


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