映画「アメリカン・ビューティー」を観て
8月10日、「アメリカン・ビューティー」という映画を観た。原題は「American Beauty」。1999年のアメリカ映画で、サム・メンデス監督の作品だ。
キャストは、レスター・バーナム役のケヴィン・スペイシー、キャロライン・バーナム役アネット・ベニング、ジェーン・バーナム役のソーラ・バーチ、リッキー・フィッツ役のウェス・ベントリーなどである。
といった内容。
で、観終わっての感想。
登場人物の心の中に、空虚感を感じる
この映画の登場人物は、大きく見ると7名いる。
バーナム家の主人、妻、娘。隣家に引っ越してきたフィッツ家の主人、妻、息子。そして、主人公の娘の友だちのアンジェラ。
一見、この7人は幸せな日々を送っているように見えるが、どの人物も心の中に空虚感を感じるのである。唯一そう感じなかったアンジェラさえ、最後にそう思えた。
この空虚感を、この映画は描きたかったのかもしれない。
一見普通に見える家庭、実は家族はバラバラ
バーナム家も、フィッツ家も世間的には普通の家庭・・・・だった。
しかし、バーナム家は、主人のリストラから崩れ始める。妻は不倫。娘も人生を楽しんでいるとは思えない。隣のフィッツ家。妻は精神的におかしくなりかけている。息子は精神的な病の中にいる。しかしその原因は実は厳格に見える父から受けたしつけからのものであったと思われる。その父親でさえ、厳格な中に押し殺した本来の潜在的心理がある可能性がある。
つまり、どの家庭も、実はバラバラなのだ。
普通に見える家庭ほど、その内情はわからない。
娘の友だちに幻想を描き、筋トレを続ける父親
レスター・バーナムは、娘の友だちアンジェラに恋をする。彼女が、バーナムに筋肉があれば寝るような話を娘にしているのを盗み聞きする。その日から筋トレが始まる。彼の人生にとっては、アンジェラと寝ることがモチベーションになる。ついにそのチャンスが来るのだが、アンジェラが「実は初めて」だと聞き、情事を始めようとした手を止める。
彼はその後、家族の写真を見ながら走馬灯のように、家族の楽しかった時間を思い出すのである。
レスターの人生は幸せだったのだろうか
写真たての中の家族を見て、彼は家族のとの時間を回想している。
その後ろから、後頭部に銃口が迫っている。
映画の流れから、その銃口が妻のものだと想像していたが、違った。
この場面に、この映画の面白さがある。
さて、レスターは殺されるわけであるが、彼の人生は幸せだったのだろうか。とらえ方はそれぞれだとは思うが、最後に家族との時間を思い出しながら死んだという点は、せめてもの救いであった気がするのである。