“好き”を仕事にしたら、きっと“その後”が大事。
これまで、さまざまな業界で働く、さまざまな職業に就いている人たちに取材をしてきた。
先日は、エステサロンのホームページの新規制作で、エステティシャンの方に話を伺った。
彼女はもともと建築事務所の設計士。
まったく畑違いのエステ業界になぜ飛び込んだのかと聞けば、答えはとてもシンプルだった。
「エステが好きだったから」
自身がいろんなエステサロンに通い続けていたら、ある先生から「あなたは手先が器用だから、エステティシャンに向いていると思うよ」と言われ、2日間で学べる講習を受けてみたという。
それからしばらくは二足のわらじで、設計士をしながら、自宅のスペースで友達などに施術をしてあげていた。
ここで気になるのが、次のステップへ行くきっかけだ。
二足のわらじで、趣味か副業のようにやっていたものを「本職にしよう」と思ったのはなぜなのか。
「いくら友達でも、人の体を触らせてもらって、お金もいただいて、こんな知識や技術でいいのか?って思い始めたんです」
そこでスクールへ1年半通い、エステティシャンの資格を取得。
いよいよ本格的にエステの道を進むこととなった。
これで終わりかと思ったら、話には続きがあった。
人の体を触れば触るほど、もっと知識が欲しくなり、もっと技術を身につけたくなるのだという。彼女はまた別のスクールへ通い、INFA(国際エステティシャン)の資格も取得。
そこまでいけば、もう十分かと思うのに、彼女はまだ終わりにしない。
だんだん彼女のところへ来るお客様は、表面的な美容やリラクゼーションよりも、“病気の一歩手前”の状態(不定愁訴)の人が多くなってきていた、とのこと。(腕が良い証拠だろう)
中には「いや、これは病院に行ってください」と言わなければならない人もいる。エステの範囲で「健康」に近づけることはできるが、「治療」はできないので仕方がない。
普通ならそこであきらめてしまいそうだが、彼女は一念発起し、なんと鍼灸師の国家資格の取得を目指す。またもや鍼灸師の学校へ、今度は3年間も通い、今年見事に合格した。今は実務経験を積むために、鍼灸院で見習い修業をしながら、自分のエステサロンも経営している。
エステサロンをオープンしてから、今年で18年目だという。
18年、ただの一度も立ち止まることなく、常に上を目指してきたのだ。
彼女の話を聞いていて、ただただすごいなぁと感心するだけの私。
「本当にいろんな学校へ行って学ばれたんですね」と言ったら、
「壁にぶつかると行ってますね。深く知りたくなるから。私はお客様に成長させてもらいましたね」と謙虚な答えが返ってきた。
好きだから、追求したくなる。
好きだから、もっと知りたくなる。
好きだから、そのための努力ができる。
大事なのは、「好き」を仕事にすることじゃなく、きっと「その後」の行動だ。どれだけその仕事に真摯に向き合えるか、なのだろう。
そのことを改めて教えていただいた気がした。
そして、きっと彼女のチャレンジと成長は、ここで終わらないはず。
真摯に向き合っていれば、「これでいい、これで十分」なんて仕事はないのだから。
ここ数年、ライターとしても、日本酒業界の応援団としても、成長の止まっている自分を振り返り、「これじゃあかんなぁ、なんとか動かねば!」と反省しながらエステサロンを出た。
取材は本当に面白い。いつも学ばせてもらうことばかりだ。
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