鉄道絵本レビュー(1) でんしゃにのったよ
しらずしらずのうちに、鉄道絵本が増えてきたので、本棚からいくつか紹介したいと思います。
鉄道絵本なら何でも好きというわけではなく、自分のテツ心をくすぐる要素をもった本だけを本棚に加えています。
まず最初にご紹介するのはこの作品。
自分が鉄道絵本にハマるきっかけを作ってくれた本です。
「でんしゃにのったよ」
作:岡本雄司
福音館
地方私鉄の旧型車から始まる旅
本屋さんでたまたま見かけたのが出会いですが、子どもの好きそうな新幹線やSLでなく、旧型電車、しかもどう見ても大井川鉄道のモハ312・クハ512(元西武351系)にしか見えない車両が表紙です。これは大人のテツ心もくすぐりますね!!
早速手にとってみると...
5歳くらいの子がお母さんと一緒にローカル私鉄の始発駅から、お出かけします。渋い木造駅舎は、大井川鉄道の始発である千頭駅とは全然違う建物ですが、構内に青い旧型客車が止まっていたり、沿線風景も広めの川沿いだったり、「富士モータース」「川根つり具」なんて名前の店の看板が見えたり、これはもう大井川鉄道がモチーフとみて間違いありません。
そして終点で湘南色の113系が見えてきたところで、これはもう、金谷駅!!同じホームで改札無しで乗り換えたりと、現在の実物とは違いますが、イイ感じです。
東海道線から新幹線へ
そして湘南電車113系(前面はヘッドライトがデカ目の初期車なのも最高!!側窓が角ばってて初期車にはないユニットサッシに見えてしまうのはご愛敬)は、大井川橋梁とおぼしき(色は違うけど)橋を渡って、静岡駅とおぼしき新幹線との乗換駅に到着。
ここで乗り換える新幹線は、300系。静岡に停まるということはのぞみではなく、ひかりかこだまのはずですね。
時代設定はいつ頃?
大井川モハ312・クハ512は2002年には定期運用を離脱したそうで、300系は1992年の登場で、のぞみとひかりで運用、こだまに使用されたのは2001年からとのことなので、時代設定は1992~2002年の間くらい、ということになるんでしょうか。
そういえば、静岡駅到着前には、EF200の貨物列車にクム80000(ピギーバック輸送用・4tトラック2台を積んでいる)らしき貨車が見えていて、東海道線のピギーバック輸送列車は1986~2000年までのようなので、やはり1990年代、ということになるんでしょうね。
右側通行!?のわけ
ところで、新幹線が到着するところを見ると、実物の原則に反して右側通行に見えてしまっていますが、これは、右から左に読み進めるこの横長の絵本のページの進行方向に合わせてアレンジされているんだな、と解釈しました。
そして新幹線は一路東京へ。東京駅到着直前には、山手線・京浜東北線E231系、東海道線の211系や185系EF66の牽くブルートレインが見え、東京駅到着時には東海道・東北上越新幹線の各型式がずらりと並んでいます。
お手本にしたい、最高の一冊
シンプルな線だけどイイ感じのリアルさを持った車両たち、背景も空や地面の色は塗らず、必要なものだけをうまく取り入れていて、絵柄も色合いもほんと素晴らしいです。木版画の技法を使われているとか。適度なウエザリングや温かみもあって、ローカル線から新幹線まで、いろいろな電車も出て来て、本当に最高の鉄道絵本!!
自分にとってお手本にしたい、素晴らしい1冊です。
2013年第1刷とのことですが、いまや本屋さんの乗り物絵本コーナーには常時並んでいる、定番絵本になっているのもうなづけます。
ぜひ手に取ってみて下さい。
〜この絵本に登場する車両〜
大井川鉄道
電車 モハ312・クハ512
客車 オハ47?
国鉄(JR)
在来線電車 113系、211系、185系、E231系
電気機関車 EF66、EF200
貨車 クム80000
新幹線
300系、500系、700系、200系(更新車)、E2系、E3系、E4系
(追記)
うっかり京浜東北線もE231系と書いてしまいましたが、京浜東北線への配属実績はないですよね。前面が見えないので、側面からの推測ですが、209系500番台っぽいですね。
調べたら、同形式の京浜東北線での運用は2001年からということで、ピギーバック輸送の終了の2000年と矛盾してしまう(笑)それとも209系0番代なのだろうか...!?
まあだいたいその辺ってことで良いことにして、おおらかに楽しみましょう〜
とにかくおすすめできる、素敵な絵本です。
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