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三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい
これは幕末の武士・高杉晋作が詠んだとされる唄です。
高杉晋作といえば、誰もが一度は名前を耳にしたことのある幕末の風雲児。倒幕運動をした中心人物の一人です。
幕末という激動の時代に揉まれながら、
苦悩し続け、揺れ続け、もがき続け、
それでも最後まで自分の心に忠実に生きた人。
そしてその心根が日本を変えた。歴史を動かした。
これが私の浅い知識ながらの高杉晋作の印象。
そんな晋作が詠んだとされる唄。
三千世界の鴉(カラス)を殺し、
主(ヌシ)と朝寝がしてみたい
これ、めちゃくちゃ気に入っちゃった。かっこよ。
晋作は、これを遊郭で詠んだとされています。かっこよ。
この唄の意味に関しては、様々な解釈があります。
歌詞と一緒で、本当の意味合いは知る由もありませんし、どう感じたかは自由ということで、あくまで私個人の感想になりますが。
「三千世界」というのは、仏教用語で宇宙の単位を表すもので、「宇宙全体、世界全体」みたいな意味だそうです。
カラスは朝方に鳴く鳥ということで、時間軸のメタファー。カラスが鳴けば、遊郭の営業時間終了を意味しており、もう帰らなければいけない。
なので多くはこのような解釈がなされています。
「世界中のカラスを殺してでも、君と朝までゆっくり添い寝をしていたい」
かっこいいかよ。
とは言っても要は、「君とお別れするのが寂しいから、朝まで一緒に居たいよ〜」な気持ち。ってことですよね。これを風俗で言ってると。
それを、
"三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい"
って...
こんなにも美しく、情熱的に、切なげに、しかも短歌で!唄ったわけです。
これが「表現」ですよね。これが「表現」。
しかも、「主(ヌシ)」という言葉は遊女が用いる特殊な言葉で、”客の男”を意味するそうです。
なので、この歌は”遊女視点”で詠まれているということになります。
おしゃれかよ。晋作、おしゃれかよ!
アーティストの才能あるじゃんね。
余談ですが、晋作は税金使って風俗行きまくってて、仲間に怒られてたらしいですけど。
なんかこの人って、とことん人間らしいんですよね。
そこも私が高杉晋作を好きなところの一つです。
(税金使っての風俗通いは炎上案件)
晋作は享年29歳という若さで亡くなっていますが、偶然にも晋作の命日と私の誕生日が一緒なもんで、一方的に縁を感じています。
短い人生だったけど、150年の時を経て、私はあなたの人生から勇気をもらっています。
晋作が死ぬ間際に詠んだ句も有名なんですよね。それもまたいいんだ。それはまた別の機会に。