あの日の僕らにさよなら
学生時代を思い出すと、苦しくなります。
それは、苦しいことがあったからそれを思い出して苦しくなるというのではありません。
楽しい思い出が多すぎて、もうあの頃には戻れないということに対して苦しくなるのです。
学生時代は吹奏楽とオーケストラに暇とお金を費やしていたのですが、数日前にその当時の演奏会のDVDを見たら、涙が止まらなくなってしまいました。今までそんなことは一度もなかった。自分でもびっくりしました。意外とメンタルに限界が来てるのか、その日の体と心のコンディションが悪かったのか、どちらが原因かはっきりしないがそんなことはどうだっていい。
ここで話は変わりますが、コダーイという作曲家をご存知ですか。
ハンガリーの作曲家です。
この人の描く曲は元々お気に入りですが、最近の気分にぴったりです。いつも聴いています。
『ハーリ・ヤーノシュ』という曲がありまして、これを聴くととてつもなくハンガリーの空気を吸いたくなります。(吸ったことはない)
今すぐ心だけでも飛んでいきたい。
(お気に入りは、ヴィオラソロから始まる第3曲です。6:40~です。でも全部素敵なのでぜひ聴いてください)
この曲のツィンバロムの音に心を奪われ、本当にハンガリーに行ってしまった都築祥子の気持ちが、今なら痛いほどわかる。しかし、私にそんな勇気と行動力はありません。
コダーイという作曲家を気に入ってくれたならば、『ハンガリー民謡「くじゃく」 による変奏曲 』もぜひ聴いてみてください。私にとって思い入れが深い曲のひとつです。
この曲の中で1番のお気に入りは、言うまでもなく第14変奏のフルートソロです。こんなに美しい旋律がこの世にあっていいのか、と思うのです。
(もちろん全部素晴らしいので聴いてほしいですが、フルートパートの魅せ場は17:15~です)
聴く度に苦しくなってしまうとしても、思い出が乗った曲がいくつもあるのは幸せなことです。
あの頃にはもう戻れなくても、あの頃の思い出が今の私を支えてくれていることは間違いありません。
「あの頃に戻れるとは思っていない。ただ、あの頃を思い出しながら、もう一度始めることはできるはずだ。今いるこの場所から、足を一歩前へ。さらに一歩前へ。」