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ご近所付き合い

ある日、村瀬の家の周りに高い壁が建てられた。

最初は生け垣だった。

いつも通り隣家の佐々木が訪れ世間話をしていった。
彼は陽気で話好き、よく村瀬の家にふらりと現れては長々と話し込むのだった。

だが、村瀬はそれを煩わしく感じていた。
最初こそ気軽に相手をしていたが話は際限なく広がり彼の時間は次第に奪われていく。仕事に集中したいときも、静かに本を読みたいときも佐々木はお構いなしにやって来た。

「ちょっといいか?」
「まあ、少しだけなら」

そう言いながらも話は長引き、気づけば日が暮れている。


村瀬は決意した。
大工に頼み家の周囲に壁を作ったのだ。
頑丈で高く扉もない壁を。佐々木の姿が見えないように。


翌朝、佐々木が来た。

「おーい、村瀬さーん!」

壁の向こうから声がする。
しかし、村瀬は応じなかった。

数日間、佐々木は毎日訪れたがやがて声は聞こえなくなった。


村瀬は静かな庭でコーヒーを飲みながらふと考えた。

この壁は本当に必要だったのだろうか。


だが、もう答えを聞く人はいない。



終わり


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