映画と探偵とハンドルさばき
探偵A:「あーあ、暇だなぁ」運転席でハンドルを握りながらそう呟いた。
今はとある浮気調査の張り込み中だ。
古い型の白い軽バンの中で対象者が立ち寄っているパチンコ店を監視している。
すでに5時間が経過しておりさすがに退屈してきた。
探偵A:「そういえばさ、この前『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』見たんだけど面白かったよ」沈黙に耐えられず唐突に映画の話を切り出した。
探偵B:「ああ、見た見た」と相槌を打ち、会話が始まる。
探偵A:「あのマルチバースって設定熱いよな。 過去のスパイダーマンが出てくるなんてファンにはたまらんよ」
探偵B:「ドクター・ストレンジも良かったしアクションシーンも迫力満点だったよな」
探偵A:「でもさ、あのラストはちょっと切ないよね…」
二人の探偵は映画の内容についてあーだこーだと語り合った。好きなシーン、感動した場面、ツッコミどころなど。
探偵B:「そういえばさ、昔『マトリックス』を見た時は衝撃を受けたなぁ」
探偵A:「わかる、 バレットタイムとか革新的だったよな」
探偵B:「俺、あの映画見てからしばらく黒いサングラスと革のロングコートを探したもんね」
探偵A:「俺も! でもさすがに似合わなくて諦めたけど」
二人の探偵は過去の映画を振り返りながら懐かしさに浸る。青春時代の思い出話、映画館でのエピソード、くだらない考察など話は尽きない。
探偵A:「あとさ、この間テレビで『ワイルド・スピード』やってたんだよ」
探偵B:「ドミニクがかっこいいよな」
探偵A:「そうそう! 俺もあんな感じでこのポンコツ軽バンを運転してさ、必死で追いかけてくるパトカーなんかを華麗にかわして仲間達と笑いたいよ...」まだ何か言いかけたその時、探偵Bが慌てて会話を遮った。
探偵B:「対象者が出てくるぞ」
二人の探偵は息を呑んでパチンコ店の出入口を見つめる。
対象者の男が若い女性と腕を組んで出てくるところだった。
探偵A:「よし、追跡開始だ。ブライアン!」エンジンをかけ意味もなくアクセルを吹かしている。
探偵B:「ドミニクかよ」
しばらく尾行を続けると対象者達が乗ったスポーツカーはラブホテルに入っていった。
探偵A:「よし、証拠ゲットだ!いくらスポーツカーだからってドミニクの魂が乗り移った俺の運転からは逃げられねえよ!」興奮気味にカメラのシャッターを切る。
二人の探偵は顔を見合わせてニヤリと笑った。
探偵A:「…あれ?」ルームミラーを見て呟く。
そこには一台のパトカーがピッタリと張り付いていた。
探偵A:「え…? なんで…?」戸惑いながら尋ねる。
探偵B:「…もしかしてさっきのドミニクばりの運転、スピード違反してた…?」
探偵Aは顔面蒼白になった。浮気調査どころではなくなってしまったのだ。
探偵A:「…あのさ、『ワイルド・スピード』なら必死で追いかけてくるパトカーなんかを華麗にかわして...」震える声で言った。
探偵B:「ドミニクじゃないんだ、あきらめろ....」
白い軽バンはパトカーに先導されながら
ゆっくりと走り去っていった。
終わり
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