『剣穂之舞(けんすいのまい)』
先日、埼玉県熊谷市の古民家で開催されたイベント
「スサノヲ祭り」
において旺龍堂会員の相山さんと創作舞踊
【剣穂之舞】
を披露しました。
-
日本神話の中にある「八岐大蛇(やまたのおろち)」の話を題材にして、二人で一から創り上げました。
-
この話は男神「素戔嗚尊(すさのをのみこと)」が、
女神「櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)」を護って、
八つの頭を持つ巨大な大蛇「八岐大蛇」を相手に剣で戦って、勝利し、
二神が結ばれる・・・という物語。
-
きっかけは同イベントの主催者の方からのオファーで始まりました。
相山さん経由で、武術家である私に「剣」を使った舞いをしないかと。
「スサノヲ祭り」という事で、神社巡りが趣味で、新しい事が好きな私は「これは良い機会」とお受けして、早速練り始めました。
-
すぐに頭に浮かんだのが「八岐大蛇」の話。
何故か。
-
この話では、姫を守る為に、素戔嗚尊は剣という武力をもって戦いました。
現実の世で平和を得る為には、残念ながら【チカラ】が必要だという事を以前から私は感じていました。
それは私が武術家であり、また20年間の警察勤務で社会の裏側を目の当たりにしてきたからかも知れません。
-
しかし、本当に大切なのは、その奥にある【愛】だと強く思っています。
「愛無きチカラ」は単なる暴力です。
そこには何の価値もありません。
だからこその【武】だと考えています。
「愛在るチカラ」が【武術】だと確信しています。
-
この舞踊『剣穂之舞』の第1パートでは、私のソロで「剣技」によって八岐大蛇を退治するシーンを表現しています。
大切な姫を護ろうとする【愛在るチカラ】を振るいます。
第2パートでは、素戔嗚尊が大蛇を退治し、疲れ膝を着いた後、
相山さん演じる豊穣の女神である櫛稲田姫がベールを脱いで現れ、
深い悲しみによって閉ざしていた心から徐々に解き放たれ、立ち上がり、自由を喜び、稲穂を手に舞います。
第3パートでは、姫は豊かさの象徴であり、慈しみの象徴である「稲穂」を素戔嗚尊に手渡し、その代わりに「剣」を受け取り、地へと収めます。
そして二神はそれぞれ稲穂を手にして、その豊かさに感謝し、和合するかのように喜び舞い・・・この豊かさが子々孫々へと伝わりますようにと、重ね合わせた稲穂を天高く掲げます。
私は【チカラ】を振るうだけでは決して平和は訪れず、
その後に【慈しみ】や【感謝】をもって人と人とが繋がることによって平和という豊かさを享受できると考えています。
自分たちだけ利益を得ようとするのではなく、豊かさを分かち合う心を持つこと、
すなわち【愛】がすべての根底にある世であって欲しい・・・
という想いでこの舞を創りました。
-
こうした試みは初めてでしたので、上手く伝えられたか分かりませんが、少しでも感じて頂ければ本当に嬉しいです。
-
以前に二人で出雲へ旅をした時に感じた、かの土地が持つ「力強さ」と「深い慈愛」。
それらが今回の経験をきっかけとして一つのカタチとなった舞。
武が生み出すチカラの象徴である【剣】と
日本の豊穣の象徴である稲の【穂】を名に頂き、
日本らしい【力と愛】の世界を表現する創作舞踊『剣穂之舞』。
-
これからも研鑽を重ね、日本神話などをモチーフにした作品をクリエイトしてゆきたいと思っています。
-
日本が、世界が、
いつの日か、
たとえ、それが気の遠くなるような遠い未来であったとしても、
強い愛で、優しい愛で、結ばれ、豊かになるよう
祈りをこめて。
-
-
小幡良祐
RYOSUKE OBATA
-
【OBATA RYOSUKE OfficialSite】https://bd-bagua.com/
【旺龍堂OHRYUDO YouTube】 http://www.youtube.com/user/3spiritsryoken
【note】『おばた りょうすけ』 https://note.com/bluedragonbagua