#忘れられない先生
調子に乗りまくっていた女子高生だった。
冴えない女の子が色気付き出すと、これまで見向きもしなかった男子たちが机の周りを囲う。見た目を少し変えるだけで、こうも男子の反応は変わるのかと驚いた。
恋をする自分に酔っているのが楽しかった。
ある日の自習の時間中に友達に、調子に乗って恋の悩みを話していた。
『次は○○とデートするんだけど、多分別の人と付き合うんだよねー、でも一回会っとこうかなー』というクズみたいな話をしていた時に、ふと、近くに座っていた見張り役の先生に、『素直なのが一番やで。』と言われた。
本気で悩んでいたわけでもなく、ただそうやって遊んでいただけなのに、どうしてか泣いてしまった。
『人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである』
と、アドラーが言ったそうだ。
きっと、すべての悩みに向き合うのに必要なのが、『素直』なんだと思う。それ以外で関わることのなかった先生のその一言は、10年以上経った今でも、私の中に残っているし、大切にしている。
素直でいることって、大切なことなのに、人に教わることって少ないよなぁ。私もこどもにそんな話したことなかった。これからやってくる反抗期に備えて、今からそんな話をしておくのも良いのかもしれない。