オレンジジュース日記 1 in バルセロナ
高校生のころの私は『深夜特急』に熱を出した。6冊の本をろくに寝ずに読んだため実際に体調を崩した。節々は一刻も早く切り上げることを要求していたが、痛みを誤魔化して私は主人公が終点ポルトガルに降り立つところを見届けた。それまでのスリリングな行程を踏まえると、ポルトガルは実に穏やかな、そして寂寥とした描写であったことが印象的だった。それは日本から遠く離れた陸の終わりであり、私の世代が知らないはずの懐かしい日本的な田園風景にも思えた。一人の旅人の目を介した世界のドキドキハラハラか