SOLITUDE DARKNESS FANTASY 52

パトルは闇の力を感じながら、身体を自分のものに戻した。彼の心の奥には闇の存在が潜んでいるが、今はその影響を抑え込んでいる。森の中を歩きながら、彼は周囲の景色に目を向けた。無数の灰色の木々が不気味にそびえ立ち、薄暗い空間に包まれていた。

進むにつれて、静けさが増していく。彼はこの場所に何かが潜んでいるのではないかと感じた。ふと、道の先に何かが見えた。それは、苔むした石が積み重なった古代遺跡のようだった。彼はその遺跡に引き寄せられるように近づいていく。

遺跡の周囲には、古びた彫刻が施された石柱が立っていた。彫刻は、かつての住人たちの姿を描いているようで、神秘的な雰囲気を醸し出していた。パトルはその彫刻に目を細め、何か特別な力を感じた。まるで彼を迎えるかのように、遺跡は彼に語りかけているかのようだった。

「ここには何が隠されているのだろう?」

彼は小声で呟きながら、遺跡の中に足を踏み入れた。中は薄暗く、長い間誰も訪れていないかのように静まり返っていた。石の壁には古代文字が刻まれており、何かの儀式や伝説を記したもののようだった。彼はそれをじっくりと観察し、何か意味があるのか考え込む。

「この文字、読めないな……」

遺跡の奥に進むと、広い空間が広がっていた。その中心には巨大な石造りの祭壇があり、上には青白い光を放つクリスタルが置かれている。パトルはそのクリスタルに近づくと、手を伸ばして触れてみた。

触れた瞬間、彼の中に何かが流れ込んできた。強いエネルギーが身体を駆け巡り、まるで忘れていた力を思い出させるかのようだった。彼の周りの空間が揺らぎ、かすかに音が聞こえる。

「これは……」

彼はクリスタルの力に引き込まれ、しばらくその場に立ち尽くした。しかし、その時、後ろから微かな足音が聞こえた。彼はすぐに振り向き、警戒の姿勢を取った。暗闇から一匹の化け物が姿を現した。先ほどの虫とは異なり、今度は人間の形をした巨大な影だった。

「またか……」

パトルは剣を構え、前に出てきた影を見据えた。影はパトルを見つめ、まるで彼の心を読み取るかのように微笑んでいる。その姿は不気味で、目はどこか虚ろだった。

「お前はこの遺跡に何を求める?」

影が低い声で問いかける。パトルはその声に動揺せず、冷静に答えた。

「力だ。ここに眠る何かを。」

影は一瞬驚いたように目を大きくし、次の瞬間にはその顔が引きつった。影は手を振り上げ、パトルに向かって突進してきた。パトルはすぐさま反応し、斬撃を繰り出した。剣が影に当たると、空間が歪み、影は消え去る。

「何だ、ただの幻影か。」

パトルは安堵し、クリスタルに再び目を向けた。しかし、何かが彼の心に影を落とした。古代遺跡には過去の秘密が詰まっている。彼はまだこの場所にいるべきではないと感じ始めた。

再び足を進めようとしたその瞬間、遺跡全体が震え始め、周囲が崩れ落ちていく。パトルは急いで外に向かい、遺跡を後にする。外に出た彼の目の前には、灰色の森が広がっていた。

「何かが目覚めたのか?」

パトルは遺跡を振り返りながら呟いた。彼の心には、さらなる謎と試練が待ち受けているという予感が漂っていた。再び進むべき道を探しながら、彼は森の中を歩き続けた。

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