見出し画像

0202 帰宅してしまった(追記)

ついに旅行も最終日である。
四万十川から松山へ、そこから岡山まで特急で移動し、新幹線で帰るというルートである。
前日の凍結事件の反省も踏まえ、宿の人に四万十川上流へ向かう道路の状況を聞いてみたところ、ここのあたりは雪は降っていないので大丈夫という。

ネットで見ると、ここの国道は酷道という部類に入るらしく、「無理!」とドライバーである相方氏が悲鳴を上げたため、四万十川にかかる沈下橋で、最下流にあるものを見、前日に土佐弁のかわいい少年から聞いた物産センターへ行くこととした。

沈下橋は、山々に囲まれた静かなところにある。
空気が甘い。清潔。冷たい。何だこれ。と必死に深呼吸しながら橋を渡る。
こんなところで暮らしたら、どれだけ穏やかな人間になるのだろう、と、通勤時にイライラしながら歩いている自分を思い出したのだった。

沈下橋は、どうせ沈むのだからということで、洪水時に水の流れを阻害する欄干がない。恐る恐る覗き込むと、川面からなかなかの高さであった。手に汗を握りながら、スマホで写真を撮り、今度は物産センターに向かう。

土産はそこですべて買い揃え、さて、どうしようと思ったところ、相方氏が、インスタ映えする駅に行きたいと言い出した。
「下灘駅」である。
今更調べたところ、ドラマに出てきたそうで。
私は何も知らず、相方氏は単純に予讃線を走る電車が見たい、ということで、この小さな無人駅に集まる人々とは違った動きをし、変な目立ち方をした。(電車を追いかけ動画を取るおじさんと、冷たい強風に震えて海をにらむおばさん)
冬の瀬戸内海は荒れるそうで、下灘駅の対岸にあるはずの周防大島は影すらも分からない。

タイミングよく来た予讃線の車両を見送って、いよいよ松山を目指す。
松山駅前は一方通行の道が多く、レンタカー会社に向かう途中で、曲がる場所を間違え、その後はちょっとした迷路である。カーナビもどういうわけか沈黙してしまって、案内をやめてしまった。諦めるな!

路地から大通りへ出ようとし、歩行者が通り過ぎるのを待つ…と思ったら、歩行者の方が、先に行けという。いや、今出ると右折できないので、どうぞどうぞと互いに繰り返したのち、根負けして左折する…そして再びの迷路……

30分ほど予定時刻をオーバーしたが、まだ電車は来ない。
腹が減ったので、遅い昼食にと、瀬戸内のレモンが入ったパスタを食い、駅の喫茶店でコーヒーを飲みながら時間を潰した。

さぁ、潮風に乗って岡山だ。
岡山では、電車撮影会である。乗り継ぎに余裕を取ったと相方氏が言っていたのだが、その目的はこれであった。
キハを追いかけホームを駆ける。
特急が来れば、大きな荷物を抱えたまま機敏に動き、先頭車両を撮影する。
車掌さんがおりてきてくれると、歓喜だ。これが小さい子供であれば、かわいいのだろうが、何せ相方氏はアラフィフである。乗務員さんも手は振ってくれない。

これでもかと電車の写真を撮り、停車中のキハに乗って振動を味わい、ご満悦の相方氏は、最後に九州新幹線も見ることができたので、あとは新幹線でビールを飲むだけとなったのだった。

新幹線に乗り込むと、あれよあれよと景色が後方に消えていく。
夜行で6時間ほどかかったのに、新幹線では3時間だ。新幹線の速さ、異常である。確かに新幹線は大動脈だった。この速さで次から次へとくるのだから、恐ろしい。そりゃ夜行も需要が減るってものだが、夜行は夜行でまた違う味わいがある。
「狭い箱に入れられて、運ばれる夢を見た」と相方氏は若干夜行がトラウマになっているようだが、また乗りたいものだ。

そんなこんなの旅行もこれにて終了。
これからは定期的にちょっとした長旅をしてみたいものだ。

できれば、遠く、人の少ないところへ。

いいなと思ったら応援しよう!

0
よろしければ応援お願いいたします。いただいたチップは、執筆のお供のコーヒー代に使わせていただきます!