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0733 悪魔なんていないと悪魔が言う

開高健の世界を旅してかいたルポものが読みたくて、購入。
やはり開高健はルポが良いと思う。日本人を書かせると、辛辣極まりなくて、恐縮してしまいがち。(小さな国の、小さい人たち)

血と指紋を書くとピカイチで、花で話を始めても、どうしても血で終わる、とは文中の言葉だけれど、まさにそんな本。戦場に行き、戦争に爪を引っ掛けられて戻れなくなってしまったのだろう。その分日本がくだらなく見えてしまうのだろうか。
この本で好きな言葉は二つある。一つは海兵隊のおまじないの歌。もう一つはこちらだ。

悪魔のいちばんのトリックは人に悪魔がいないと思わせること

眼ある花々 開口一番

彼は釣りをしにアラスカへ行く。ここには自然があると書いているけれど、今や北も、そして南も西も東も、一切が流血で彩られている。防衛のためにアラスカもその位置はアメリカにとって非常に重要だし、今やグリーンランドまで買うと言い出した。帝国時代に遡り中なのだろうか。
今開高健がいたらどう書くのだろうとそんなことばかり考える。戦場に行き、その反動で釣りをしてまわり…

今のこの世のきな臭さ、開高健が見て回った時代と違うのは、日本もその戦争の輪の中に入っていると言うことだろう。呑気にしている場合ではない。新聞の記事にひっそり書かれている自衛隊の動きを見ていると、よほど危ないのだろうと推察される。

戦争のトリックは、日本人に戦争は起きないと思わせること、だったりして。

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