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読書note『さんかく』千早茜
千早茜さんと言えば「食」の人という印象があります。
それを最初に印象付けられたのは、千早さんの書籍…ではなくX(当時はTwitter)でした。
私は千早さんのXをよく拝見していて、手料理やティータイムの写真が投稿されるのをひそかに楽しみにしています。
千早さんはとてもお料理上手な方で、お茶やお菓子が大好きな「食」への飽くなき好奇心がある方なのかなと思っています。
『さんかく』も「食」を心から楽しんでいる人だからこその作品だと感じました。
「作ること」「食べること」へのこだわりがある人が描く「食」のシーンにはリアリティーがあります。
その証拠として、本作には「おいしそう!」「食べてみたい!」と食欲をそそられる食事の風景がたくさん登場します。
まさに五感で読む作品。
千早茜さんの作品は文字を目で追いながら、その世界を見ている、聞いている感覚がいつも印象的で、「食」がテーマのこの作品では特にそれを強く感じました。
主人公たちが食事をする場面を読んでいるときは、まるで彼らと共に同じテーブルを囲んでいるかのような気分になるほど、食事風景がとても丁寧に描かれています。
特に印象的だったのは「手巻き寿司」を食べる場面です。
お互いが選んだ具材を勧め合うところが微笑ましく、私も実際にその組み合わせを試してみたいと思いました。
「おいしいね」を分け合える仲ってなんて素敵なんだろう。
本作を通して気づいたことのひとつです。
「おいしいね」を分け合える。
それは共にお腹も心も満たされる幸福な時間と言えるのではないでしょうか。
千早茜さんは日々「今、ここ」に意識を向けていらっしゃる方なのだと思います。
そうでなければ「ああ、あの◯◯は確かにこういう音/匂いだ」と思える言葉や表現を生み出せないと思うからです。
料理をすることや食べることが好きだという著者の思いが伝わってくる『さんかく』。
「食」への関心が強い人におすすめの作品です。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの本選びの参考になれば幸いです。
memo:
去年に読んだときの感想を読書ノートに書いていたのですが、noteでは文体をです・ます調に変えて投稿してみました。
理由としては、私を通した著者の方について語るところが多かったので、柔らかく表現したいと思ったからです。
でもこれがなかなか難しい……。
言葉って奥が深いなぁと書き直しながら改めて感じました。
お借りした見出し画像は、「おにぎり イラスト」で検索しました。
いろんな食べ物がころんと描かれていて、とてもかわいいです。
素敵なイラストをありがとうございます。