【カメラ】みなとみらい全館点灯2024 【夜景撮影】
みなとみらい全館点灯をオールドレンズの名玉で撮り歩く。
オールドレンズの誘い
筆者は趣味でたまにカメラをやっている。一眼レフカメラからミラーレスカメラに移行していって面白いなと思った点がひとつある。
それは、オールドレンズを楽しめるという点だ。ミラーレスカメラはフランジバックが一眼レフカメラよりも短いため、マウントアダプターを介することでかつて昭和時代に製造された古いカメラレンズを流用することができるのだ。
スーパータクマー55mm F1.8
このスーパータクマー55mm F1.8は1962年に発売されたオールドレンズで、ネットでは超琢磨ーなどの愛称で知られる。逆光撮影時に虹色フレアを楽しむことができることで有名だが、実は絞ると解像するレンズなので普通に使って楽しむこともできる。
マウントアダプターを介してニコンZ7に装着したところ。ニコンZ7は2018年のモデルになるので、年の差55歳のコンビといったところだ。
もちろんこの組み合わせでも何の問題もなく撮影ができてしまう。こうしたガジェット遊びを楽しめるのもカメラ趣味の面白いところだろう。
試写
会社を定時ダッシュし早速試写を行ってみる。このレンズは東京オリンピックの頃に発売されたレンズで、後期型でも1965年なので今からざっと60年前のレンズになるのだが、なかなかどうしてよく写る。
三脚に据えて絞って撮ると普通に解像するのだが、絞り羽根が6枚であるため、光芒が6条に分かれているのが印象的だ。最近のレンズは円形絞りになっているのでこうはならず、今では使われていない技術であるが故、かえって珍しく新鮮な印象がある。
適当に道中をスナップ撮影した図。1枚目に名探偵コナンでCMに入る時のアイキャッチみたいな扉が写っているがこれは横浜税関だ。書いてる側からコナンにしか見えなくなってしまった。
どう見てもコナンだろうこれは(笑)
さて4575万画素の高画素機であるZ7で使ってもこれだけ映る。このレンズを絞り開放で撮ると独特のフレアが出るため、このレンズで撮った写真と一目でわかる。こういうギミックは面白い。
逆光耐性の弱さとして本来は欠点であるはずが、時代が下るにつれてオールドレンズ独特の個性として受け入れられるようになった要素で、時の経過によって再評価されるようなったのは興味深い。
みなとみらい全館点灯2024
今回のお題も横浜みなとみらいとなる。みなとみらいでは毎年クリスマスイブになると全館点灯イベントを開催してくれる。主要なビル街がすべて点灯してくれるので写真好きには嬉しい試みとなっている。
なお少し前に、Denaベイスターズ優勝記念でライトアップをした写真はコチラになる。同じ場所だが、夜景は撮り方を変えるとがらりとイメージが変わるためなかなか面白い。こちらも読み比べると面白いかもしれない。
①多重露出(比較明合成)
今回の撮影は主に比較明合成という方法で行った。これは多重露出というテクニックのひとつで、簡単に言うと明るい部分だけを重ねる(=暗い部分は足さない)という合成方法になる。
たとえば1枚目に普通の写真を撮り、2枚目にわざとピンボケさせた写真を撮って両者を合成すると、3枚目のような華やかで印象的な写真を生成することができるのだ。右側の観覧車の部分はうまくハマったと思う。
最近のミラーレスカメラはカメラボディ本体で比較明合成を行うことができる。レタッチソフト無しでできるため便利だ。
②大さん橋より
今回の全館点灯では大さん橋まで歩きながら三脚撮影を行った。これらも比較明合成による多重露出で撮っているのだが、絞り羽根が非円形絞りのため、玉ボケが六角形になってしまっており、このレンズで撮ったことがわかってしまう。宝石箱をひっくり返したような賑やかさは良き。
この玉ボケの部分は、通常の写真の2/5くらいのシャッタースピードで撮っている。あんまり明るいとうるさくなってしまうし、かといって暗いと地味になってしまうので加減がなかなか難しい。
③ソフトフィルター+HDR
大さん橋から定点撮影。大さん橋はデッキに出る坂道から、手前方向に少し戻ったところにベストポイントがあり、このポイントから取ると観覧車がセンター位置に据わり、左右にランドマークタワーとインターコンチネンタルホテルが来るため見栄えがいい。
カメラにはソフトフィルターという小道具があり、コレを使うと光源をにじませることができる。今回はPRO1D プロソフトン クリア(W) というものを使用した。ソフトの効きが控えめなので使いやすい。
上は通常撮影、下はフィルターを使った写真になるるのだが、光源の形が違っており、下の写真の方が光がにじんで雰囲気が柔らかいことが分かる。
またフィルターと共にHDR撮影を併用している。これは露出(明るさ)の異なる写真を3枚撮影して合成するという手法で、ダイナミックレンジを疑似的に広げ、白飛びや黒潰れを軽減する効果がある。
下の写真の方が光源のにじみが大きく、コントラスト(明暗差)が控えめなので、肉眼で見た時に近い印象を与えやすい。
④ホワイトバランス
カメラには「ホワイトバランス」を調整する機能がある。これは色温度を調整できる機能で、この2枚は通常5000K(ケルビン)であるところ、3300Kまで下げて撮っている。
その結果写真全体が青被りしており、クール印象となっている。昔のタングステンフィルムが3200Kなのでほぼ同じ色温度ということになる。昔は専用のフィルムを購入・装填しなければこの色の夜景は撮れなかったが、デジカメになってからは手軽に撮れるようになった。
なお色温度の解釈や味付けはカメラメーカーごとに特色があり、ニコン機のブルーグリーンは雑味がなく上品な雰囲気で好きだ。富士フイルムはもっと緑が強く、富士フイルムは青が強くなる。この感じは噛み慣れたミントガムじゃないとしっくりこない感じにも似ている。
⑤LEDもいける
みなとみらいまで戻り横浜美術館前の並木道へ。上記の比較明合成のテクニックはLEDライトアップでも威力を発揮する。
ソフトフィルターが手元にない場合はこれで撮るといい感じに仕上がる。この写真は三脚を用いて撮っているが、このテクニックは三脚を用いないスナップ撮影でも可能で、意外と汎用性が高い。
このレンズのF値は1.8であるため、絞りを開くとボケを大きくすることができる。この2枚はピンボケ写真を絞り開放で撮ったものを比較明合成したものだが、大きなボケが被写体を纏うように包み込むため、空気感の演出に一役買っている。
まとめ
今回はオールドレンズで夜景撮影を行ってみた。スーパータクマーはハイキーにしてポートレート撮影で使われるケースが多いのだが、夜景撮影に使うと光芒が6条に伸び、玉ボケも六角形になるなど、現代レンズとは違った描写を楽しむことができる。
LEDは比較明合成で始めて撮ってみたのだが、コレいいっすね(自画自賛)
ソフトフィルターがないときはこうやって撮ればいい感じに写せるし、三脚がない手持ちでできるのがいいっす。カメラはこういう新しい発見が毎回あるのが面白いですね。