世界は果てしなく広い。
「世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」
流れる黒髪、美青年。
龍、というその名前もあまりにその人に似合っていて、大好きだった。
虜になった。
この文章は #人生を変えた一冊 というタグから書き始めた。
僕の人生を変えた一冊を上げるなら、なんといっても「妖怪アパートの幽雅な日常」だろう。
両親を失った高校生、稲葉が妖怪アパートへと住むことになる。
妖怪たちや、変人たちに囲まれて過ごす日々は、とても充実したもので…、一方で様々な騒動に巻き込まれていく。
滅茶苦茶ざっくりと紹介するとそんな話だ。
救えないものもいる、と語る。
自分で変わろうとしないものに救いの手はない、と語る。
全ての人に向き合えるわけではない、と語る。
結構きつい言葉だ。
なんて冷たいのだろう、という人もいるかもしれない。
でも、彼らは自分が向き合うことを定められたものに手を伸ばすのだ。
懸命にそこで最善を尽くすのだ。
迷ってもいいと教えてくれたのは彼らだ。
不安定だけれど、迷う事で世界は確かに広くなることを教えてくれた。
知らないことがあるということは怖いことではないのだと教えてくれた。
悲しい事は悲しんでいい、怒りたい事は怒っていいと教えてくれたのは彼らだった。
すぐに答えなんか出なくていい。
迷っていい。心ゆくまで。
それがあなたの人生になる。世界を広げる大切な過程だ。
今の僕にも通じる。
ある意味、耳の痛い、刺さる言葉達で溢れた本だ。
急いで大人になんかなるな。
何か、自分にとって心臓を揺さぶるような、そんな大切なものを捨ててまで、大人になんかならなくていい。
青臭くて結構だ。
中二病で結構だ。
理想論で結構だ。
矛盾してて何が悪い。
僕等は生きている。
生きているからこそ、悩むし、問題にもぶつかる。
泣きたくもなるし、怒りたくもなる。
迷って、迷って、どこにも行けなくなるかもしれない。
それでも大丈夫。
今は迷えばいい。
あなたが進みたいと思ったら、周りに思いっきり手を伸ばしてほしい。
そうしたら、その手を掴んでくれる人がいる。
手を伸ばすことは怖いかもしれない。
また拒否されるかも、と不安なるかもしれない。
というか、不安だ。
僕も思う。
怖い。不安になる。
また届かない。
傷つくだろうと思う。
だから、諦めたくなる気持ちも重々承知だ。
理解出来る。
共感出来る。
でも、どうか諦めないでほしい。
誰かがあなたを、あなたの頑張りを、勇気を、ちゃんと知っている。
だからどうか恐れずに。
本当にあなたが望むのならば、その手を迷いなく伸ばしてほしい。
この本の中には、妖怪のような不思議で私達人間とは違う存在も登場し、魔法も使えるヤツがいる。
でも、それでも、彼らも僕等と変わる事のない「一つの存在」であることは変わらない。
隣にいて、「普通」に生きている。
共に食事をして、酒を飲み、酔っ払い、お風呂に入り、たっぷり眠る。
馬鹿話をして、大笑いする。
彼らと共に生きている。
僕達は一人じゃない。
とりあえず、上手い飯食って、お風呂にゆっくり浸かって、たっぷり寝て。
家族や友達、恋人…、関係なんて正直、何でもいい。
誰かと話しちゃえ。
「生きる」ってそういうことだ。
何がどうなるとか、未来が見えないとか。
確かにそうだけど。
とりあえず、生きていこうぜ。
未来は後からついて来るかもしれないし。
最後に、僕の大好きな人、龍さんの言葉でこの文章を閉じる。
「迷っても悩んでも乗り越えようとあがく者には必ず救いの手が現れる。
たとえそれで問題は解決しなかったとしても。」
今、この文章を読んでいるあなたが迷って悩んでも。
それを乗り越えようと足掻いたなら、必ずあなたの前に手が差し伸べられるだろう。
問題が解決するか、しないかは正直関係ない。
あなたがその手を取ることで、あなたの世界が変わるのだ。
今の僕も迷っている、悩んでいる人間の一人だ。
僕も正直必死だ。
泣き散らかしてしまう日もあるし、自分の心にきつくきつく蓋をしてしまう日もある。
でも、生きている。
生きているから、何かは変わっていく。
僕の前に差し伸べられた手を懸命に掴むことが出来る。
世界は果てしなく広い。肩の力を抜いて、共に歩いてほしい。
手を取り合って、笑おう。
そして、とびっきり美味しいものでも食べに行こう。
たっぷり眠った後には。
共に生きよう。
共に、この広くて、果てしない世界で。
一緒に生きてほしい。
今を懸命に生きる、そんな素敵なあなたに祝福あれ。