最果ての地、斜里町から〜北のアルプ美術館
串田孫一さんのエッセイを読んでから、行きたかった北のアルプ美術館に行ってきた。
思いの外良い場所でまた訪れたい場所になった。
2日連続で訪ねてしまった。
場所は斜里町
知床半島の根っこにある斜里町にある。
知床斜里駅から車で3分
(徒歩20分)
網走駅から車で40分
2022年で開館30周年を迎え、
雑誌の名前を冠した美術館はここにしかない。
創設者 山崎猛氏
北のアルプ美術館を作ったのは、山崎猛さん。
文字が小さいので以下に再掲。
山と自然讃歌の文芸誌
『アルプ』
アルプ本来の語義は、スイスの高山山腹の夏季放牧場。
串田孫一が、山の文芸誌として『アルプ』を創刊したのは、昭和33年。
『自然破壊と機械文明がもたらす人間の心のゆがみに対して、文学や美術がいかに無力であったか』
重たい言葉だと思う。
この時すでにこんな思いを持つ人がいて、この時と比べると今はもっとその無力感が増している気がする。
今こうしてnoteで素敵な人たちと交流をさせてもらってはいるのだけれど、インターネットがなかった時代を選べるならば選びたい。
世界は狭かったかもしれないが、その分、文学や美術が世界を広げてくれたのではないだろうか。
北のアルプのABC
北のアルプ美術館に『北のアルプのABC』という部屋がある。
アルファベット全て書くと日が暮れてしまうので、NOTEにちなんで後でこの4文字を紹介したい。
見どころ
『アルプ』300号が並ぶ部屋
ここは見るだけで楽しかった。
とても全て紐解く時間はないけれど滞在して、記念の月の『アルプ』を読む旅というのもしてみたくなる。
串田孫一氏の書斎
東京都小金井市の書斎を忠実に再現した部屋。
ガラスの窓から見る仕立てで中には入れない。
本棚の本の並び順までも忠実に、現物と共に移動してきた書斎。
6年の歳月!をかけて作られた。
すべて写真に収め、ブロックごとに分けダンボールに詰めて東京から北海道へ持ってきたそうだ。
ミニマリストブームだけれど、
もし串田孫一氏がミニマリストだったら、ここに同じように再現してもつまらない。
真っ白い部屋にシンプルなデスクと椅子にMacBookみたいな。
味わいや趣はなさそうだ。
物ってその人がいた時の温度感や空気を伝えてくれるのだなぁと思った。
串田孫一氏が使っていた時をそのままに。
『アルプ』と美術館の創設者、山崎猛氏の出会い
その前に、山崎猛氏とアルプの出会いをご案内。
B
Boyhood
山崎猛さんの少年時代
山崎猛さんは15歳で、乙部町から遠く離れた斜里町へ丁稚奉公に行った。
元旦以外休みなしという環境。
勤め先は田中商店。
今、車で訪れても遠いと思う場所。
根室半島と知床半島の付け根と(知床半島はクルマで先端に行けないから)、宗谷岬は本当に地の果て感がある。
15歳で親元を離れて遠くに来た山崎少年。
寂寥感、孤独感、いろんな思いがあったんだろうな。
C
CHANGE
変化
山崎少年が斜里町で働いて5年。
手違いから、『アルプ』と出会う。
十勝の田中書店に届くはずの『アルプ』創刊号が間違って斜里町の『田中書店』に届いたのだった。
この手違いが、山崎少年の人生を変えたのだ。
では、以下『北のアルプのABC』からnoteの頭文字を。
N
NATURE
自然と共に
私が訪れた2日目。
お年を召した男性と女性がアプローチの落ち葉を掃除していらした。
ボランティアだろうか。
現在の館長、山崎ちづ子さんは、
除草剤も考えたけれど、踏みとどまった。
草取りが大変だとこぼすと、除草剤まけば?って確かに言われる。
でも両親は嫌がるし、私も嫌だ。
だから、館長の気持ちは理解できる。
O
OPEN
開館の日
この頃の私は、まだ山登りの楽しさを知らない大学生だった。
林間学校や高校の遠足で、山は“行かされる“ものだった。
後に、山登りの楽しみを知った私は幸せだと思う。
T
TIMELINE
美術館の歩み
見えにくいかもしれないが、拡大したら読めるだろうか。
E
EDITING
同人誌『吠える』
山崎猛氏は『アルプ』の影響を受けて、文章を綴る喜びに目覚め、町の高校教師や電電公社、職員、銀行員が同世代の友人たちと同人誌『吠える』を作った。
3年にわたる活動で、7号を出して休刊する。
アルプの哲学
P
PHILOSOPHY
アルプの哲学
北海道の東の果て
北海道の東の果て。
根室半島や野付半島、そしてここ斜里町。
今の時期、美瑛や帯広,旭川のガーデンも美しくて素敵だ。
毎夏また行こうか悩みつつ、
『今は遠くに行っておこう』
という気持ちになっている。
歳を取ったら、遠出がキツくなるだろう。
遠くまでドライブしても、
私は何の変哲もない車窓の風景だけで満足で幸せ。
(ドライバーには感謝)
もし一通り、北海道の有名なところを回ったら、その後はこういうところにも行ってもらえたらと思う。
北のアルプ美術館写真あれこれ
ここも先に入れないからこの距離での撮影。
光って上手く撮れなかったが串田孫一氏の絵も飾ってある。
今日は昼から北海道時代の友達とランチ。
午前中はのんびりなので、備忘録を書いてみた。
戻ったらまた串田孫一氏の随筆を読みたい。
そしてこの本もまたゆっくり紐解きたい。
斜里町は遠い。
なかなか訪れるのは難しいかもしれない。
少しでも参考になれば。。