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『階段ランナー』

ブルー系の表紙で手に取った。
階段という単語も気になるし、
ランナーという単語も気になるし、
表紙のイラストも爽やか。
どちらかといえばティーンズ向けかも。
ティーンズ向けの小説を多く書かれている方、という印象。

主人公は高2男子。
中学生の時に水泳が強かったが
家庭の事情でわずか数日で帰宅部に。

ヒロインは同じ高校の高2女子。
本気で卓球をやっているが、スランプ気味。

この2人が出会い、
同じ高校の元先生と、
先生のお母さんの階段仲間である
女性マラソンランナーとでチームを組み、
京都の階段駆け上がり大会に出場することに。

主人公は、ヒロインから
草食動物っぽい、と思われている。
途中、主人公の親友も交え、
3人で仲良くなっていくが、

主人公の友人も、
草食動物の友達は草食動物だ、と。
馬の友達は羊だ、って評されている笑

この2人の草食系男子のやり取りが
ほのぼの安心感があって癒される。
一方、ヒロインは
ガチで卓球やってて、若干攻撃的。
個性的で面白い。

初め、主人公が敬語を崩さなくて、
ヒロインに、敬語禁止、と言われる。
SNSのアカウントも聞かれて、
元先生の階段ブログの更新があるたびに
やり取りを重ねる。

他人行儀だった関係から、
主人公に降りかかる悲しい事件やら
ヒロインに降りかかる悲しい出来事やらを
お互いに気づかっているうちに、
距離が近くなっていく。

出てくる人物が、優しくてあったかい。

2人の主人公にそれぞれ別々に降りかかる出来事はとても辛い出来事なのだけれども、
お互いを含め、
周囲の優しい人、親身になってくれる人たちの
おかげで前向きに乗り越えられそうな予感。

悲しみが襲ってきたときの
2人の芯の強さ。

誰かが側にいてくれることの
ありがたさ、心強さを感じた。

そして、階段に上りたくなる。とても。
上るぞー

『階段ランナー』 吉野万理子著 徳間書店 2022年


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